「あ、んあぁっ、…っあ、ぁ、ひゃ、…んんっ、ふ…っ」
巧みに俺を快感に誘う指に、身を任せそうになると、指が抜けていった。
「ぁ…あ、あ…」
物足りない、なんて思ってしまうけど、それを俺なんかが蘭様に伝えるわけにはいかない。
落ち着こうと、息を整えていると、蘭さまが俺の尻たぶを開いた。
少し固いものが後孔に当たる。
え?
じゅぷ、じゅぅうっ…!
「あっ、ああ゛ぁぁ゛っ…!?」
何が起きたのか理解する前に達してしまった。
液体が、勢いよく……中に……。
達した余韻に浸りながら考えを巡らせる。
ボトルを後孔に当てられてチョコレートを流し込まれたのか。
「これは何?」
「あ、やめっ!汚ないです…!」
さっき腹に飛び散らせてしまった白濁を蘭さまが手に絡めるように撫でる。
そんな、汚ない。
蘭さまの綺麗な手に俺の体液が付くなんて、申し訳なくて死にたくなる。
ダルい体に鞭を打って蘭さまの手を退けようとすると、その手をパシンと祓われてしまった。
精液を腹に塗り込むように撫でたり、音をたてて混ぜてみたり、遊んでいる。
俺はそれを見ていられなくて、目を反らそうとすると、声をかけられた。
「これは何?」
さっきも聞かれたことだ。
答えなきゃ。
「せ、いえき…で、す…っん!」
言った言葉が恥ずかしくて後孔を絞めてしまうと、中のチョコレートがとろりと動く。
漏れてしまった声が恥ずかしい。
「イったの?」
「は、い…」
改めて聞かれると、恥ずかしさで控えめに答えることしか出来ない。
ふぅん、と蘭さまが呟く。
「僕はバレンタインデーを朔に教えてあげようとしただけなのに」
「っ…!」
「朔はイっちゃったんだ?」
呆れたように発せられたその声が、涙を誘う。
じわじわ溜まる涙が溢れそうになるのを堪えながら、謝った。
「ごめ、なさっ…」
「何に対して謝ってるの?」
「らっ、蘭さま、っは、…ばれ、たいんっを…ぅ、おし、てくれ…」
嗚咽を堪えながら言う。
蘭様はバレンタインデーを俺にせっかく教えてくれてるのに。
俺は勝手に快感を拾って気持ちよくなって、はしたない。
はしたないどころか、バレンタインデーを台無しにしたんじゃないだろうか。
蘭様が涙を拭ってくれる。
その手には精液とチョコレートが着いていて、それが俺の頬に着いた。
鼻がつんとする。
「気持ちよくなって、恥ずかしい?」
「は、い…」
怒っていると思ったら、蘭様は意外にも笑顔で俺は反応に困る。
笑っているだけで怒っているのかもしれない。
「そうだよねえ。チョコレートお尻に入れられてイっちゃったんだもんね?」
蘭様は再び俺の中に指を入れるとチョコレートをかき混ぜるように指を動かす。
「ぁああっ…!ん、ん、あ゛、っ…ふ…!」
前立腺を触られると、性器はまた硬度を増してしまう。
前立腺ばかり攻められると、また達してしまいそうになるけど、さっきの蘭様の言葉を思い出して耐える。
また怒られる。嫌われる。
「あ、ぁあ゛、や、ぁっ…ごめ、さ…!」
「イっていいよ?」
だめだ。嫌われる。
否定の意味を込めて頭を振るとため息が聞こえてきた。
「ふぅん……僕に反抗するの?」
「ち、ちがっ…!ぁ、んあっ…」
「今日はご褒美無しかなあ」
「ごめ、なさい…!」
蘭様の指は俺から抜けていってしまい、不謹慎にも中が疼く。
「ご褒美、ほしい?」
「は、はい!」
じゃあ、と蘭様が条件を出す。
「自分でシてみて?」
「え…?」
意味がわからなくて間抜けな声が出た。
俺は何をすればいいんだ?
「お尻の穴に自分の指を入れてかき混ぜて、イけたらご褒美あげる」
「っ…!」
直接的な言葉に心臓がドクンと跳ね、顔が赤くなる。
「できる?」
こくん、と小さく、でも確かに頷くと蘭様は綺麗な顔を少しだけ怪しく笑顔にさせた。
おわり
―――――
蘭様は朔くんが世間知らずなのををいいことに騙して(?)恥ずかしいことさせるの好きです。