みかん


俺の様子を窺うように覗き込んできた暁の頬にちゅっと音をたててキスした。

「わっ」

暁はビックリしたように状態を戻す。
にっこり笑うと、暁も安心したのか、笑った。

「暁は無い方が好き?」
「何が?」
「ピアス」
「うん、好き」

あーやっべ。
俺に言われたみたいで、ちょっとときめいた。

「じゃあ塞ぐから暁が取れよ」
「へ?…わかった」

ん、と顔を差し出すと暁の細い指が唇に触れた。
片方の手の指が口腔内に入り、俺の粘膜に触れる。

これ結構やばくね?
暁の指、俺の口の中だし、暁は俺の唇ガン見だし。


ペロリと舌で暁の指を舐めると、ひっ、と声をあげて手を引っ込めた。
なんか調子づいてきた俺は暁に、ぐっと顔を近づける。

「な、なに…」
「暁、指じゃなくて」

意識的に色気だだ漏れで話す。
暁の顔がほんのり染まる。
かわいい。

「口で取れよ」
「は?や、近い…」

暁が俺の肩をぐいぐい押す。
そんな力じゃ意味ねえよ。

その手を掴み、さらに顔を近付けた。

「ほら、早く」

もう片方の手で、暁の後頭部を掴み、顔を近づけると、暁はぎゅっと目を瞑った。
なんというか、注射我慢してる子供みたいな顔してる…。
俺は注射か。
…まあこの際いいや。

唇と唇まであと一センチ…
ちゅー…

「ぐあっ!」

いきなり首が捕まった。
ぐっ、と頭から体が持ち上がる。
ヘッドロック。

「お前何してんだよ」

不機嫌な龍の声。

あーちくしょ。
もう少しだったのに。
あと一秒あれば…。

「ちょ、苦しい!悪かったって!」

龍の腕をギブ、と言うようにバシバシ叩く。

暁は目を開けてホッとしたような顔をした。
俺はちょっと傷つく。
まあ自業自得なのか?

龍がやっと手を放すと、肺をフル活動させた。
本気でかけやがったな。

文句を言おうと龍を見ると、ものすごい不機嫌な顔をしていた。
あー眉間の皺が…。

「お前、そのピアス引き千切んぞ」

こわっ!
慌てて口を両手で隠す。
ほんとにやりかねないからな。

龍は暁の腕を掴み、立ち上がらせると引きずって扉に向かう。

「三上!授業始まるまではここにいていいけどチャイム鳴ったら授業出ろよ!」

龍に引きずられて遠ざかっていく暁に手を振った。


てかさ、龍は何でさも当たり前のように暁を自分のものだと思ってんだ。
俺様すぎんだろ。

まあ俺、龍のそういうとこ嫌いじゃねえけど。

暁ちょっかいかけると、間接的に龍もからかえるんだよな。
暁にちょっかいかけるたび、龍が不機嫌になる。
そこは超楽しい。
まあ、やりすぎたら怖いけど。



次の日、口のピアス外してったら暁にめちゃくちゃ喜ばれた。

「塞ぐのか?」
「んー」
「偉い三上!」

そう言って褒める暁。
褒められてる俺を井上は恨めしそうに見つめる。

「みかんちゃんずるーい!」
「何で?」
「俺もアキちゃんに褒められたい!」
「お前もピアス開ければー?んで、すぐ塞げよ」

挑発するように言うと、井上は制服をゴソゴソ両手で探り出した。
何だ?

「安ピンない!」

ああ、ほんとに開ける気か?

「画鋲で開けろよ。画鋲で」

俺が言うと、そうか!と言って、画鋲を取りに行こうとする。

「ちょ、画鋲!?なんかやばそうじゃね?それにな、校則で一応ピアス禁止なんだぞ。開けちゃだめだ」
「わ!今のすごい先生っぽかったよ、アキちゃん!」
「だから!先生っぽいんじゃなくて、先生なんだって!俺は」

うん、俺結構学校楽しいわ。





―――――
みかんちゃんと暁ちゃんは結構仲良しなんだっ。
これの暁ちゃん目線、龍の鬚〜で書こう。









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