愛を囁く愚か者


「愛してる」
「軽っ」
「いや、ほんとだって」
「はいはい」

俺の態度が気に入らないのか、悠(ユウ)はまた指をゆるくかき回し始めた。

「あっ…んっあ!…はあ…あ…」
「きもちい?」
「ん!…きもちいっ…から、もっと…」
「うん」

指を出し入れし、前立腺を擦られる。
気持ちいい。
口をパクパクしてるとキスしてくれる。
舌が絡まって、やばい。
興奮する。

「ん、むぅ…ん、ん…ん」
「ん、かわいー」

中に指を挿れたまま、動かしてくれない。
俺は我慢できなくて、キスをもっとって、せがみながら、腰を振る。

「あっ、あっ…!いいっ…きもち…!」

イイとこに当てるように腰を振る。
悠の指を使ってオナニーしてるみたいだ。

「ちょっとやばいかも」

俺の痴態に興奮したのか悠が熱の籠った視線を俺に向けていた。
それに釣られて、俺まで興奮する。
ドクン、と性器が大きくなった。

「あは、見られて興奮した?」

コクリと頷くと、ふふ、と笑われた。
悠の性器が当てがわれる。
先っぽが簡単に入り、俺の後孔がキュンと食い付く。

「ああっ…!ん、はやく…」
「んートロトロ」

グンッ、グンッ、とリズムをつけて入ってくる。
そのたび俺はビクンッ、ビクンッ、と背中を反らし感じた。

全部入った。

「愛してるよ」

またそれか。

「…うるさい」
「なに?怒った?」
「………」

悠と俺は恋人なんて甘い関係ではもちろんなく。
かといって友達かって聞かれても怪しい。
つまり、ただ気持ちいいことしちゃう仲。
俺が元々、男同士のセックスに興味があって、悠は男も女もイケちゃうタラシで、いつのまにかこんな関係に。

俺以外にもこんな気持ちいいことしてる奴がいーっぱいいる。
ほんとどうしようもない。

そんな悠と関係絶てない俺も、たいがい、どうしようもない。

こいつの好きだの愛してるは趣味だと思う。
愛を囁くのが趣味。
そんなこと言わなくたって俺は悠から離れられないことくらい知ってるくせに、何度も何度も愛してるだの、ばかじゃないのか。
きっと趣味なんだ。
ほんとに愛のあるセックスなんて俺とはできないのに、言葉でそんな雰囲気に浸りたいだけ。
ばーか。

「ごめんね。怒んないで」

たいして心配してないくせに心細そうな目で俺を見る。

「………」
「ほんとごめん。ほんとは…愛してないよ」
「…その謝り方もどうなんだ」
「だって怒るから」
「…怒ってないよ。動いて?」
「うん」

ふんわり笑って、それに似つかわしくない、やらしい行為を再開する。

「あっ、あっあっん…ぅあっ!」
「んっ、…すきだっ…」

また始まった。
遠いところで考えながら、突かれて喘ぐしかない浅ましい俺の身体。

ピストンしていたのが、円を描くように動き始める。
前立腺擦られたら、もうだめ。
あ、もう頭飛びそう。

「ひゃあっ…イくっ…いっちゃあっ…あああっ…!」
「ぅ、締まるっ…」

俺は達して、悠はその後ちょっと腰振って俺ん中に出した。
ズルッと中から抜かれて、少し精液が垂れてきた。

俺は身体ダルくてふわふわした気持ちで、うとうとしてたら、

「寝ていいよ。後やっとく」
「ありがと」

お言葉に甘えて寝ることにした。
なんか疲れた。





目が覚めると真っ暗で身体はきれいになってた。
隣で悠が俺に背中を向けて寝ていた。
視界に写る背中がなんだか切なくてどうしようもなくなった。
なに、どうしたの、俺。

真っ暗な部屋で何かがチカチカ光るのが見えた。
悠のケータイだ。
あー明日会うって言ってた女の子じゃないかな、たぶん。


「悠」

呼んでも返事はない。
当たり前だ、寝てるんだから。
なのに俺のまっ平らな胸がぎゅうぅと痛んだ。
何で?

確かに俺は、抱かれるセックスの善さをしって、ハマってはいるが、それだけだ。
男をすきとか、そんなんじゃない。
だから悠も、そんなんじゃない。

だけど、でも。

行為中の悠の言葉を思い出した。

『愛してる』

痛い、胸が。

『ほんとごめん。ほんとは…愛してないよ』

なんで、こんな。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。


「っく…ひ、っく…ん…」

声を押し殺すと、止まらない。

悠の定期的に上下する背中を見ながら、勝手に出てくる涙を拭った。

あの言葉を反芻しながら。





おわり

―――――
何が書きたいのかまとまらない。
そしてエロが薄い。
こういう切ないのは向いてないなあと改めて思いました。
残念。

タイトルは一時間は考えました。
思い付かなくて途中何回も適当なのつけようかと思ったんですが、後で後悔しそうだったんで。


感想はclapにお願いします。
一言でも嬉しいです!


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -