龍の鬚を蟻が狙う
「てめー結局なんなんだよ。言え」
「誰が言うかあ!お前に言うことなんか一つもない!」
加賀見に好きだと言われた。
俺が思うにたまには珍味も食べてみるかみたいな発想だと思う。
珍味とはもちろん俺のことだ!
何を間違ったのか俺も…その、……嫌いじゃない的な、まあそんな感じのことを言ってしまった。
で、その前の加賀見から加賀見じゃない匂いがして、エスパーな加賀見がそれを察知した。
エスパーにも色々あるらしく、何か隠したことはわかったが、何を隠したのかはわからないらしい。
俺はそれが何かと加賀見に追い詰められている。
何でこんな目に……。
「言わねえとさっきと同じことするからな」
「うー…」
さっきのとはなんのことかと言うと……思い出したくない。
とにかくひどいことだ。
痛いし苦しいし最悪だ。
加賀見が押し倒してきて無茶苦茶に暴れる。
「無理無理無理無理無理無理無理無理っ!」
そんな俺を相手にもせず、鎖骨に吸い付いてきた。
「ひっ…!やめろ!」
「うるせえな」
なんだよ!?
ほんとにする気か!?
「んっ、お前ってほんとに絶倫じゃねえの?」
「あ゛?」
「だっ、だって、女とヤって俺とヤってまたしようとしてんだろ?」
「…誰とヤったって?」
「だから俺とあの昼のおん、…な……あ」
あ あ あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ー!
お、俺、何て言った!?
せっかく隠してたのに油断した…!
ちっくしょう!
加賀見め!
魔術か!?
魔術なのか!?
いや、でもそれと俺が隠したことは繋がらないはずだ!
落ち着け俺!
「何で知ってんだよ?」
「こっ、こ小耳に挟んだと言うか…」
そう言うと加賀見は俺をじっと見つめてくる。
俺の行動から色々分析しようとしてるのがわかる。
目が合わせられなくなった俺は思いっきり目を反らした。
「あー…匂いか?」
エスパー降臨…!
どっ、どうする!?
自慢じゃないが俺はあんまり嘘が得意じゃない。
しかも相手は異常に洞察力の長けてる加賀見だ。
「な、んの話だ?」
俺が問いかけると確信を持ったようににやりと笑った。
「俺から女の匂いがして…」
「あ゛ーーー!聞こえねえ!聞こえねえなあ!」
耳を塞ぎ、頭をぶんぶん降りながら加賀見の声を遮断する。
恥ずかしくて目もぎゅっと瞑った。
「のわっ!?」
加賀見に腕を引かれ、耳のブロックが崩れた。
「なあ、俺に言われんのと自分で言うの、選ばせてやるよ」
なぜ上から目線っ…!
いつものことだが何様のつもりだ。
自分で言うのはやだ!
でも加賀見にニヤニヤされながら分析結果を聞かされるのもやだ!
どんな顔して聞けばいいんだ!
逃げ道は…な、い…。
「ゆ、う…」
何かもう全部加賀見の思惑通りな気が…。
「だっ、だからぁ…加賀見から……その、昼の生徒の匂いがして……えーっと………」
なるべく感情を捨て事務的に言おうとするがなかなか難しい。
「そっ……それ、が……ちょっと………ちょーっと…!ほんとにちょっと!気にくわなかった、と、いうか……や、だ、ったと…いう、か……」
恥ずかしいぞ!
なんだこれ…。
加賀見の様子を恐る恐る覗く。
「…っ!」
このやろっ…!
「ニヤニヤすんじゃねえええ!!」
おわり
―――――
もはらです!
リクいただきまして。
基本、フリリクが溜まってるので今リクエストは受けてないんですが、ちょうどこのぶんの話足りないなあと思って書くつもりだったのでいい機会かなと思って、書きました。
リクにはエロもあったんですが、みかんも更新したかったのと短編も更新したいので許してください。
あとリクの内容書きやすいように結構変えちゃいました。
気に入らなかったらごめんなさい。