龍の鬚を蟻が狙う


俺に快感を与えるそこは、さっきから耳を塞ぎたくなる音を立てている。
ぐちゅぐちゅ、ぬぷぬぷ。

乳首まで摘ままれて、ほんと痛い。
でも、ケツを触られながら痛くされると、何が痛くて何が気持ちいいのかわからなくなる。
全部、きもちい?

「りゅっ、んぁっ…りゅ、うっ!」

後孔が疼く。
ムズムズする。

加賀見を呼び掛けどうして欲しいか口には出さず訴える。
気持ちいいけど、足りない。
もっと欲しい。
だけど、そんなこと言いたくない。

「お前今、どんな顔してるかわかってんのか?」

加賀見が舌打ちして苛ついたように乳首をさらに強く摘み、爪を立てた。

「ぁっ…?ぃぎいっ…!」

何か俺、怒らせた…?

「ちゃんと言えよ、どうしてほしいか」

加賀見の指がずるっと抜けていった。
喪失感に身体が震える。
「はう……おれ、」
「俺じゃねえだろ?」
「う…?」
「女の顔して、女の格好して、俺なんて言うのか?」
「や、俺、男だも…」

すると加賀見は後孔に硬く反り勃った性器を、ぴとりと当てた。
腰を進めてほしくて腰が勝手に揺れる。

「女みたいに言えよ」
「やだぁ…」

そんな恥ずかしいこと言いたくない。
涙が溜まっては溢れた。

「見ろよ」

足を肩に担がれる。
スカートの膨らみが見える。
スカートの中では後孔に加賀見の性器が今にも入りそうなのだ。

この光景だけを見ると、ほんとに男女間のセックスみたいだ。

加賀見は俺の尻を揉み、性器を挟むように動かしたりする。
硬さや大きさを密に感じてしまい、身体が粟立つ。

「あっ、もう、ちょーだいっ…」
「どこに?」

そう言いながらグリグリと後孔の表面に性器を擦り付ける。

「あ、ん、やだっ、言えな…」
「じゃあ一生このままだな」
「う、もっ、やっ…おまえ、やだっ、きらい、だっ…!」

加賀見はまた俺の性器を潰すように握った。
さっきの痛い想いを思い出して、身体が勝手に硬直する。

「ぎぃあっ…!い゛た…やだ、や」
「誰を嫌いだって?」
「や゛っあ゛、ごめっ、なさっ!ごめんなさいっ…」

痛くて何も考えられない。
手を離して欲しくて、それしか考えられない。
ごめんなさい、ごめんなさい、と謝る俺の耳に、喉で笑う音が聞こえた。

「言うか?」

バカみたいにこくこく頷くと、手が離れていった。
恐怖からか、痛みから解放された安堵からか、涙が止まらない。

「あ、…ぅうー…」

言おうと心に決めても、恥ずかしくて、口をパクパクするだけ。

「言えないよぅ…」
「ならずっとこのままだな」
「やだっ、ん、やだ…!」
「言えたらお前の好きなとこ、好きなだけ突いてやるよ。だから、な?」

出来損ないの子供に言うみたいに、珍しく優しく言ってくる。
こんなこと俺に要求してくる張本人とは思えない。

ぎゅって目を瞑って覚悟を決めた。

「あ、ぅ……あ、き、のなか、に…く、だ、さ…」

心臓が壊れそうなくらい恥ずかしい。
顔から火が出そうだ。
そんな俺を加賀見は満足そうに見つめる。

「聞こえねえよ」

絶対嘘だ。
何でそういう意地悪ばっかりするんだ。

「うー…ふ、ぇっ…うっぐ…俺、言ったも…」

頑張って言ったのに、全部チャラにされて悲しい。
反射的に涙が出てくる。

「お前、それ俺が喜ぶだけだってわかってねえだろ」

喜ぶ?俺が泣いたら?
お前、頭おかしいんじゃねえの。
俺なんかが泣いて喜ぶなんて世界中探してもお前だけだ。
物好きにもほどがある。

中が疼く。
内壁は刺激を欲しがって蠢いて、苦しい。
もし、目の前に加賀見がいなくて、一人でこんな状況だったら、我慢出来ず、自分の指やその辺にあるもの手当たり次第突っ込んでいたかもしれない。







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