龍の鬚を蟻が狙う


「く、ん…ぅ、は…」

ヴヴヴヴッ…!

「なあ、誰かケータイ鳴ってね?」

今の俺の状態じゃ誰かわからないが、生徒の一人がそう言った。

「バイブ聞こえんだけど」
「っ…!」

ドキリと心臓が跳ねた。
俺じゃないか?
ローターの音、聞こえてんじゃないか?

ヴヴヴヴッ…!

「アキちゃんの授業でケータイ鳴らすとは…!」
「はは、切っとけよー」

井上の声が聞こえる。
手に汗握る思いで返す。

ヴヴヴヴヴヴッ…!

不意にローターの振動が強くなった。

驚いた俺はローターを締め付けてしまう。
ローターの位置が変わり、前立腺をかすった。

バンッ!!

腰を抜かしそうになった俺が必死に何かにすがろうとすると体重をかけて教卓を叩いてしまった。
俺も驚くような大きな音が出てしまう。
音と共にローターも止まった。

大きな音に小テストに集中していた生徒たちがこっちを一斉に向く。

「あ、……ごめん。目眩?して…」
「アキちゃん大丈夫!?顔赤いよ!?」

井上がそう言いながら、心配そうにこっちを見た。
大丈夫?具合悪いの?と優しい言葉をかけてくれる生徒たちに申し訳なくてしかたなくなった。
みんな純粋に心配してくれてるのに。

ああ、もう。
早く早く早く早く!授業終わってくれ!

教卓で隠れて生徒たちには見えていないが、俺の性器は辛そうにスラックスを押し上げている。
輪ゴムで射精を止められているため、大丈夫だったが、輪ゴムが無かったら、さっきのは射精してたかもしれなかった。
罪悪感でもう泣いてしまいたかった。
そんなわけにはいかないが。

「大丈夫。ありがとうな」

心を落ち着け、出来るだけいつも通りに言う。

「それよりあと2分で集めるからな」

そう続けると、みんな一気に問題に取りかかりだした。
残りの2分はローターに攻められ続けた。
その間ずっと俺は俯いて声を隠し、溢れそうになる性的な涙をこっそり拭い続けた。

その後、小テストを集め、早々にホームルームを終わらせた。
その間中、生徒たちは顔が赤いとか汗がすごいとか言い心配してくれた。
申し訳ない気持ちを加賀見への恨みに還元し呪いをかけた。

急いで教室を出てトイレに向かった。
もちろんローターを抜くためだ。
ローターを抜く方法考えてみたが、自分で抜くってことはケツん中に自分で指突っ込むしかない。
……絶対やだ。
どうしよう。

ヴヴヴヴッ…!

「んっ、くぅ…っ…」

ローターが暴れだす。
廊下の壁に手を着いて持ち直そうと堪えた。

後ろから影が差して、ゆっくり振り向くと加賀見がいる。
ものすっごい不機嫌な顔で。

俺にこんなことまでして機嫌直んねえのか。
加賀見の機嫌損ねた奴、誰だ。
誰か知らないそいつのせいで、俺は加賀見に八つ当たりされてるんだ。
そいつ、俺と変われ。

「お前っ、ころ、…すっ」

精一杯睨む。
でもローターの刺激に涙が目に膜を張り、残念ながら威嚇にはなっていないと自分でも思う。

「俺が今死んだらお前ローターどうやって出すんだよ?自分で指突っ込むのか?」

痛いところを突く。
さっき俺が考えてたことだ。
こいつがエスパーなの忘れてた。

腕を捕まれ、加賀見が俺を引っ張って歩く。
俺は何も言えず着いていくしかなかった。
加賀見は歩くのが速くて、ローターを密に感じてしまう。
片手で口元を押さえ、俯き、声が出ないように頑張る。

トイレに着いた。

そのトイレは職員トイレで部活の顧問の先生も遠くてほとんど来ないし、講習でも使ってない階で、さらに職員室とも一番離れてる。
放課後以外ならそこそこ利用されるが、放課後なら滅多に人が来ないトイレだ。







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