龍の鬚を蟻が狙う


「もっ、ふざけんなっ!」

抜けよって言おうとしたとき、加賀見がポケットに手を入れたのが見えた。
何かやな予感が…。

ヴヴヴヴッ…!

「ひあぅっ!やっ、ぁっ、ぁ、んっ…!やめっ、やだあっ…んっ、あ!」

中のものが小刻みに振動し出した。

「とめっ、てっ…!ぁうっ、ん、ん、っ…おね、がっ…!」

中のものは無情にも中を刺激し続ける。
振動が小さく前立腺にも伝わる。

ヴヴヴヴッ…!

「これが何か当てたら止めてやるよ」
「ふあっ、ん!っ…やめっ、おねが、っん、あっ、これ、や、あっ…」

パニックになった俺はお願い、お願い、と何度も頼むが加賀見は聞いちゃいない。
それどころか、振動を強め出した。

「ひゃあ゛っ、あっ、あっ、んっあぁ!」

何だ?
加賀見は何て言った?
必死に記憶を辿る。

これがなにかって?

「あっ、ろ、たあ!っ…ろーたあ!」

そうだ。
ローターだ。
勝手に出てくる鼻に掛かった声を我慢しながらローターって言ってるのに止めてくれない。
出してくれない。
ローターじゃないのか?

「っろー、たっ、ろぉ、たっ…!」

違うのかと思い、何なのか考えようとするが、俺の頭は対応してくれない。

すると加賀見の手が俺の性器に添えられた。

ヴヴヴヴヴヴッ…!

「やっ、あぁっ、ん、…ろ、たぁっ!やだあぁっ…」

尻がずくんっとしたかと思うと、後ろの刺激に気を取られ気づかなかったが、白濁が散っていた。
加賀見の手に受け止められている。
中の振動も止まった。

荒い息をしながらたずねる。

「ローター、…じゃな…?」
「ああ、ローターであってんぞ」

けろりと言った。

はああ!?
俺何回も言ったじゃねえかよ!

「お前が勃たしてたから、わざわざイかせてやったんだろ?」

優しいだろ?なんて言ってるこいつを今すぐ殺したい。
俺は悪態をつく変わりに出来る限り嫌そうな顔を浮かべた。
そんな俺を気にも止めず、加賀見は何か小さなものの包みを破いた。

コンドーム。
わ、ゴムじゃねえか!
持ってんなら今まで俺とシてたときも使えよ!
散々中に出しやがって。

ゴムは意外にも、俺の萎えた性器に付けられた。

へ?
俺が挿れんの?
…加賀見に?
………いやいやいやいや!
色々無理があるぞ。
それに俺は別に加賀見に突っ込みたいと思わない。

そんな考えを巡らせていると、コンドームに輪ゴムをかけられた。
え?なにこれ。

「生徒の前でイきたくねえだろ?」

なんの話だ?

加賀見はケータイを出すと、何かを確認し、俺のパンツとスラックスを無理矢理上げた。

「は!?ちょ、ローターとゴム!」

ローター抜き忘れてる!
加賀見の腕をバシバシ叩き、訴えるも、しっかりベルトまでされてしまった。

「お前6限授業だろ?」
「あ゛?あー、そうだけど」

6限とはつまり次だ。
今加賀見がサボっているのが5限。

「時間結構やべえよ?」
「は?」

加賀見がケータイを見せてきたから素直に画面を見ると5限終了まであと10分だった。

「わっ、ちょ、やば」

ローターとゴムを外そうとベルトに手をかけると、加賀見に止められた。

「やっ、時間ねえんだって!」

それでも外そうとすると尻を揉まれた。

「ひあんっ!やっ、やぁあっ、…あっ、あっ、っ…んんっ」

揉む動きによってローターも動く。
位置が変わり、前立腺をグリグリ擦る。

「やめっ、ぁあんっ!やめっ、ろぉ…!」
「誰に向かって口きいてんだよ」
「ひぁっあ、…ごめっ、さっ!ごめ、…なさっ!んっはぅっ…」

ごめんなさいと謝り続けた。
悔しいが、今はそれどころじゃない。
俺には時間が無い。







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