龍の鬚を蟻が狙う


突起を唇で挟み、舌でつんつんと刺激する。
違う。
なんかいつもと違う。
気持ちいいけど違う。

「あっん、さわ、なっ!」

触んな。
俺は寝るんだ。
そう思うのに、だめだ。
俺より俺の体を知り尽くしてる加賀見に触られると、ほんとに気持ちいい。

「ひ、あっ…っ、んっ、ちくびやっ!んぁっ、やだっ…」
「じゃあどこならいいんだよ?」
「ぜんぶっ…だめだっ、はなせ、っん…」

加賀見の胸を押すと、笑われた。

「そんなことして、ほんとにやめてもらえると思ってんのか?」

むかついて手をグーにしてバシバシ叩く。
こいつの胸、固っ。

「泣いたってやめねぇよ」
「うー…ぁっ、」

加賀見が俺の性器を握る。

「やっ、ほんとっ、やだ、って…!」

相変わらず、突起を舌でちろちろ舐められ、俺の理性を蝕んでく。
性器を何度か擦ると、手は陰嚢を掴んだ。
やんわり撫でると、玉を確認するように揺する。

「ひあっ、やっ、…やう!やだあっ…」

性器からはトロトロ先走りが溢れ、もっとと訴えてる。
加賀見の手はさらに奥に進み、先走りの滑りを借り、会陰を撫でる。

「やあっ、ぁっ、…ぁっ…ちがっ、んっ、…ちがっ、うっ…」
「あ?違う?」

加賀見の手が穏やかなものになる。

「な、なん、か……違う。さ、触り方?が…や、や、…やさ、し、い?」

優しいというか、きっとこれが世間一般では普通だ。
普段の加賀見がひどいだけだ。


加賀見は眉を寄せ、呆れたように小さく溜め息をついた。

あ、れ?
俺、何か変なこと言った?

「ああ、そうだよな、暁は乱暴にされる方が好きなんだよな」
「は?ちがっ、ぃあっ!」

加賀見はさっきとは打って変わって、俺の肩に噛みついた。
痛い。

陰嚢から会陰を滑り、後孔へ向かう。
でも、中に指は挿れてくれず、表面を撫でただけで会陰に戻り、陰嚢を撫でる。
もどかしい刺激に勝手に腰が揺れる。

「ぁっ、あっ、あっ、…やっ、」

それが何度も続く。
もどかしさに頭がおかしくなりそうだ。

乳首も唇で挟まれ、噛まれる。
なんか、いつもの加賀見だ。

もどかしい刺激にぐったりとした俺は、壁に背中を預けた。

「もっ、やだ…!んっ、それ、…やっ!」
「じゃあどうして欲しいんだよ?」
「やぁっ、…わかって、んだろっ…」

陰嚢と後孔の表面を往復していた指が、後孔に少しだけ入った。

「あんっ…!」

腰ががくんと揺れ、背中からぞくっと悦が走る。

やだ、だめだ。
もっと奥。
前立腺、触って欲しい。
中むずむずする。

「ほら言えよ」

後孔が動いてるのがわかった。
さっきの刺激の続きを欲しがってる。

「りゅ…」

理性が少し飛んだこんなときでも、行為中は名前で呼べという加賀見の言いつけに従う俺。
刷り込みってこういうのを言うのか?

呼び掛けると、形のいい薄い唇が近付いてくる。
唇が重なる。
でもそれは一瞬で、すぐに離れた。
でもまたすぐ近づいてきて、鼻の頭に触れた。

やってることは、ギリギリまでしか触らず、焦らして俺を追い詰めるというひどいやり方だけど、触れ方はいつもより、やっぱり優しい気がして、どうしたらいいか、わかんない。

これも計算の内か。
恐ろしい奴め。






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