龍の鬚を蟻が狙う


加賀見は額の傷に噛みついた。
傷口に歯が突き立てられ、痛い。

「い゛っ!」
「そうだな、誰にも会えないように縛り付けとくか」
「う…?」

ゆっくり視線を合わせると、真面目な表情の加賀見がいる。
その表情にドキンとしてしまう。

加賀見は続けた。

それだけじゃ、足りねえな。
全部関節外すか。
動けなくして、どこへも行けなくしてやる。
俺以外とは会わせない。
会う必要なんてねえよな?
誰とも会わせないし、喋らせない。
お前は俺のもんだし、全部俺の好きなようにする。


こいつ、何言ってんだ。
なんだよそれ。
関節外して監禁?
頭おかしいだろ。

そう思うのに。
どうしよう。
俺、ちょっとドキドキしてる。
加賀見の言葉に顔は熱くて、胸高鳴ってる。

ぎゅううーって心臓掴まれたみたいな感覚。


なんでか嬉しくて、どうしたらいいかわからなくて、躊躇いがちに加賀見にちゅっとキスした。
うわ、恥ずかしい。
そういえば、俺からちゃんとすんのはじめてかも。

加賀見は少しだけ驚いた顔をして、顔を近づけてきたから目を閉じた。
唇に、唇の感触。

何度か触れるだけのキスで、もっとしてほしくなった俺は少し口を開く。
そこに舌が滑り込んできた。
柔らかくて、肉厚が俺の咥内を味わうように動く。
頭がぽわんとしてきた。

顔が離れると、名残惜しいような気持ちになる。
その気持ちを抱えたまま、加賀見を見上げると、それが顔に出てたのか、ふっと笑われた。


「痛いか?」
「…痛い」

後孔の加賀見の指は動いてなくても、ヒリヒリとした痛みを生む。
いつのまにかいつもの加賀見に戻ってて、なんか泣きそうになる。

「俺が暁に痛いことするなんて今に始まったことじゃねぇだろ?」

…確かに。
加賀見は俺に痛いことして喜ぶような理解不能な奴だ。

「いつもと一緒だ」
「…おう」
「お前に触っていいのは俺だけだって決まってんだよ」
「……決まってはいない」
「決まってんだよ」

中の指がゆっくり出ていく。
ほとんど痛くない。


「加賀見、…あの、…助けてくれて、ありが、とう?」

なんか、照れる。
なんの反応も示さない加賀見に俯くしかない。

「俺、寝るっ!」

沈黙に耐えられなくなった俺は、そう言って加賀見の腕から抜け出そうとした。

明日も学校だし、さっき時計見たら3時過ぎてたし。
寝よう。

なのに、なぜか加賀見の顔が近付いてくる。
え?

「んっ…?んむ、ん、ん…!」

キスされた。

ちょ、俺、寝るって言ってんだろ。
肩を押しても、びくともしない。
ちくしょう。

「やっ、んっ…や、ぅむっ!」

加賀見の手が服を捲って、胸の粒を捕える。
指の腹でくりくり捏ね回す。
口が離れ、加賀見が首に顔を埋めた。

「俺以外にケツ見せやがって。おとなしくやらせろ」
「ぁっやあっ、やだっ、ん、って…!明日、んっ、がっこ、あぅっ」

俺の頭は寝ないと働かない。
寝ないとほんとにやばい。

首を下から上に向かってれろーっと舐めた。

「ひゃんっ!あ、あ、ん…」

耳を唇で挟み、囁く。

「心配すんな。学校なんて行かせねえから。というか、ここから出さねえ」

胸の突起をいつもと違って痛くなく触る。

「あ、やっ…」

何だよ。
ほんとに監禁する気か。
あほか。







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