龍の鬚を蟻が狙う


赤い顔を隠そうにも手は加賀見に捕まってるし、隠しようがない。

「ヤるか」
「やだ」

絶倫か、お前。
さっきしたばっかりだろ。

なんでそう下半身に直結すんだよ。
お前突っ込まれてみろよ。
すげぇ大変なんだぞ。
…や、加賀見が突っ込まれてるの想像したくない。
てか、できない。
マニアックすぎる。

突っ込む方は辛くないのか?
俺、男抱いたことないからわかんない。


体がもたないと、逃げようとすると胡座かいてる加賀見の膝に頭を押し付けられた。
…膝枕?

嫌でもなかったし、………嫌なわけないし、そのままにしていた。
それにちょっと気持ちいい。
加賀見が俺の頭に触れる。
それが気持ちよくて手を重ねると、よくできました、と言うように頭を撫でてくれた。

Tシャツの中を覗き、改めて自分の身体を見るとキスマークだらけだった。
いくらなんでも付けすぎだろ。

結構際どいところにもある。
少し首元開いた服着れない。
二の腕にもある。
Tシャツからはみ出てる。
……これ、半袖着れないんじゃねぇの?
それにピアスのせいでタイトな服着れない。
普通に困るんだが。
ほんとにこいつ、俺のことすきなのか?
やっぱ嫌がらせじゃないのか?


手伸ばして煙草取って、火をつけて吸うと、加賀見が首のキスマークにそっと触れた。
ピクッと体が敏感に反応してしまい、加賀見の笑い声が聞こえる。


むっとした俺は提案した。

「俺も加賀見に痕付けてやろうか?」

加賀見は疑うように眉間に皺を寄せる。
加賀見の膝の上で転がって仰向けになり、加賀見の首に腕を掛け、顔を引き寄せる。

「こ、れ、で」

煙草のフィルター側を加賀見の鎖骨にトントンッと当てた。
意識してニヤリと笑う。

どうだ、参ったか。
一人で満足し、再び煙草を口元に持ってこようとすると、その手を掴まれた。

「え?ちょっ…」
「つけろよ」

そう言って俺の手ごと煙草を加賀見の首元に近づける。

「や、やめっ、危なっ…」

止めようにもこの体勢じゃ力が入らない。
その間にも、加賀見は煙草をじりじり近付けていく。

慌てて上体をを起こした。
加賀見から手を奪い返し、灰皿に押し付けた。
ふぅー。
一仕事終えた気分。

加賀見がクツクツ笑う声が聞こえた。
むかつく。
加賀見から離れようとすると、腰をぐっと寄せられ、触れるだけのキスをされた。

「拗ねんなよ」
「っ、拗ねてねぇよ!もう離れろ!触んな!ばか!死ね!」

思ってもいないことが口からスラスラ出ていく。
ここまで来ると逆にすごい。

何か俺、加賀見相手だと素直じゃない。

「はいはい」

それを見透かしたように、抱き締められる。

「放せ!ばか!触んな!」

しばらく暴れていたが、腕の力を強められると馬鹿馬鹿しくなってきて、やめた。

「暁」
「…あ?」

名前を呼ばれると求められてるみたいでちょっと嬉しい。
たったそれだけのことで喜んだりするなんて、どうかしてる。

もう加賀見の背中に腕を回すしかなかった。
こいつに名前呼ばれると心臓がきゅん、てする。
ほんと乙女か。

さっきまで怒ってたはずなのに。


俺って扱いやすいのか?
単純?
それとも加賀見が俺の扱い上手いのか?
きっとこれからもずっと俺は加賀見には敵わないのだろう。
むかつくことに。


「お前なんか大っ嫌いだ」

自分もしっかり背中に腕回しときながら何言ってんだ俺は。
矛盾しすぎだ。


「ハッ…奇遇だな。俺もだ」

鼻で笑いながら、そう言われ、骨が軋むほど抱き締められた。


チッと舌打ちをした俺に加賀見は優しく笑った。





―――――
もはらです!
甘ーっ!
糖度高いよこの二人ー!笑
これ私のマックスだなー。
これ以上は無理だ。
これ以上の甘く仕方を知らない。笑
暁ちゃんにすきって言わせようか迷ったんですが、素直な暁ちゃん書こう!と思い言わせました。
お前に好きなんて言ってやらないんだからな!みたいな暁ちゃんもいいなーと思ってたんですが。
また今度書こう。
これから愛ある鬼畜になると想像されてる方がいましたが、龍くんの態度(行動)はあまり変わらないと思います。
変わるとしたら暁ちゃんの方ですね。
さらに意地を張ったり、たまに素直になってみたりすると思われます。
この十二話で完結するつもりでしたが、先日、報告した通り、完結しないことにしました。
今後ともよろしくお願いします!

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