龍の鬚を蟻が狙う


とりあえず1日終わった。
放課後、生徒は下校し、もう誰もいない廊下を歩く。
すると前に生徒が歩いていた。
誰だ?
とりあえず声かけるか。

「おい!」

すると生徒は振り向いた。
顔に見覚えがあった。
あ、赤髪。
加賀見龍だっけ。

「あ、アキちゃん、だっけ?」

アキちゃん、って。
加賀見が寄ってくる。

近くで見るとイケメンだな。
美形だしオーラがある。
女にモテそうだし、赤い髪も、少し崩した制服も、こいつのためにあるんじゃないかってくらい似合ってる。

「こんな時間まで何してんの?」
「ケータイ忘れて取りに来ただけ」
「ふーん」
「アキちゃんこそさ、何してたんだよ?」
「は?何って…」
「俺さあ、知ってんだよなあ?数学教室で女と…」

赤髪がニヤリ笑う。
みんなが騒ぐのもわかるな。
こんな顔しても、こいつかっこいい。

「なにしてた?」
「は?や、」
「アキちゃん、数学教室でなにしてたんだよ?」

加賀見の言葉が頭に入ってこず、思わず見とれていると、いつのまにか加賀見に壁に追いやられてた。

え、なに?
やっと我に返り、加賀見の言葉に耳を貸す。


「セックス、してただろ?」

笑いかけながら聞かれる。

加賀見は壁に手をついて壁と加賀見で俺を挟む。


「え…なに…っ!んん…」

口を口で塞がれる。
数秒して状況を把握して、唇を紡ぎ開かないようにする。

ピチャピャチャと音をたてて唇を舐められると顔が赤くなるのがわかる。
肩を精一杯ぐいぐい押す。
びくともしない。
そういえば、不良なんだっけ。


廊下でなにしてんだ、こいつは!


何度も角度を変え、口付け、念入りに舐められる。
唇を放され、俺の腕を掴み、近くの教室に入った。
すぐ近くだったため、抵抗の隙がなかった。
あっても無理だったかもしれないけど。

入った教室は偶然にも俺の担任の教室だった。

背中が痛い。
机に押し倒された。
びっくりして加賀見の腹を蹴ろうとしたが、それをかわされ手首押さえつけられる。

「なに…なんで…」

どうしてこんなことされるのか、わからない。
加賀見を見つめると、それに応えるようにキスされた。
舌をすべりこませ、口内を犯す。

「んふ、ん゛ー!んん…」

脚をばたつかせて抵抗しようとする。
後頭部を押さえられて、脚には体重をかけられ、抵抗も虚しく終わる。

その間上顎の歯列を舌でなぞられ、背中がゾクゾクした。
ビクリと、体が後ろに向かおうとするのを後頭部を掴む加賀見の手が邪魔をする。
こいつ、キス巧い。
悔しいけど気持ちいい。
後頭部の手が、さわさわと髪をかき混ぜたかと思うと、うなじを微妙なタッチで触った。

舌を絡めとるように擦られながら、唾液を送られる。
たえきれず喉がゴクンと音をたて唾液を飲み込む。
その音が恥ずかしくて堪らない。

飲みきれない唾液は口角から流れていった。
俺は相変わらず抵抗しようと頑張ってる。
でも身体中、力が入らない。

やっと口を放してもらい、肩で息をした。
視界がぼやけて涙目なのがわかる。
へろへろで情けない。
顔を動かし服に唇を押し当て、唾液を拭った。
生徒に唇奪われるなんて。
ちくしょうめ。


「ああ、苦しかった?悪い悪い」

全然悪いと思ってないような顔をして、さらりと言った。
この野郎。

「お前なにすんだよ!今なら許してやるから放せ!」
「アキちゃんはさ、自分の立場全然わかってねーな?」

立場?
俺とお前の立場なんて決まってんだろ。
先生と生徒だ。








「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -