龍の鬚を蟻が狙う



暁の膝を折り、まんぐり返しにする。

「やだ!無理!見んな!触んな!」

脚をバタバタさせ、暴れる。

何だ?
さっきから暁から違和感を感じる。
何か変だ。
いつも抵抗するし、それはいい。
それを差し引いても様子がおかしい。
さっきフリーズしたときからだ。

顔を近づけ後孔に舌を這わした。

「やっ、汚い、からあっ…!やだあっ…!」

暴れることは想定済みでホールド。
入り口を皺を伸ばすように舐めるとヒクヒク収縮する。
舌に中が動くのが伝わる。

「はぅっ…んああっ…あっ、あっ、あぁっ…」

舌をゆっくり中に進入させる。
唾液を注ぎ、中を探るようにかき混ぜた。
舌の先を固くし掻き出すように動かすと暁の内腿に力が入り、イくなと思い、性器の根本を強く握った。
キッと睨まれる。
辛いよなあ?

「で、なんだよ?」
「……は、…なに、が」

辛いのか顔は赤く、荒い息で答える。

「とぼけんな。お前さっきからおかしいだろーが」
「……何でも、ねぇよ」
「言えよ」
「…おま、には…かんけー…ない…」

ちっと舌打ちし、手を伸ばして綿棒を取った。

「暁、言わなきゃこれだ」

何をされるかわかったんだろう、悔しそうに唇を噛み、睨んできた。

「やだ」
「じゃあ言え」
「やだ」
「じゃあ挿れるからな?」
「………」

暁は泣くのを我慢してるようだった。
目にじわじわ涙が溜まる。
泣くくらいなら言えばいいだろ。

指をを筒状にして暁の性器を扱く。

「んっ、は、…んぁっ…」

先走りが出てきたところで、絡めて先端を弄る。
尿道を開くように親指を動かす。
綿棒を口に含み、濡らして、尿道に当てがった。
暁は目を固く瞑り、少し震えていた。
そんなに嫌なら言えよ。

ぐっ、ぐっ、と刺していく。

「ぃぎっ…!うぅ゛ううっ…」

目尻から流れた涙がこめかみに流れてる。
痛がって苦しそうな声にも興奮した。

「暁」

出来る限り優しい声で呼ぶ。
自分からこんな声が出るのか、と内心驚いた。

暁の目がゆっくり開かれる。
長い睫毛は涙に濡れていた。
頭を優しく撫でてやると、体の震えは止まったようだ。

涙にゆらゆら揺れている瞳が俺に向き、捕えられる。
胸の辺りがざわざわする。
俺が支配しているはずなのに、どこか俺が支配されているような気分になった。

涙を拭ってやる。
睫毛も優しく撫でた。

「言えよ」
「……っ…」

暁は少し考えるような仕草を見せ、せっかく拭った目にまた涙を溜めた。
細かい息をしながら首を横に振る。

その態度に腸が煮えくり返りそうになった。

お前を今泣かせているのは何なんだ。
誰なんだ。
俺以外に泣かされてんじゃねぇよ。

俺に逆らうな。
お前は俺のことだけ考えてればいいんだよ。
俺を見てろ。
俺しか見るな。

その顔も俺以外に見せんじゃねぇ。
顔も声も体も毛先一本さえ俺のものだ。

エゴとしか言い様のない感情が俺を渦巻く。


「暁、お仕置きだ」

頭が沸きそうなほど苛立っているのに、声は驚くほど低く冷たかった。
暁は一瞬ビクッと身体を震わし怯えたように見えた。
そうさせているのは俺なのに、それすら苛立ち、暁の口に手を突っ込んだ。

「ふぐっ…ん゛っ…う゛…」

奥に奥にと向かわせると、当然苦しそうにし、唸った。

「う゛ぅっ…うぁ…んぐ」

生理的な涙をポロポロ溢し、許しを請うように俺を見る。
その顔に、その顔を俺がさせているという事実に、射精してしまいそうな程、興奮した。

口から手を抜き取り、苦しかったのか、酸素を取り込もうとする暁に口付けた。
キスと言うよりは、貪って取り込む、食事のようだと思った。
暁が苦しそうにしているのも構わず、何度も角度を変えて口付け、口内を嬲る。

すがり付くように、俺のシャツを握る手に全てを許してやりたくなった。

暁の唾液で濡れた指を後孔へ伸ばし、もう片方は暁の手に絡めた。

「んん、…ふ、ぅあ…」

弱々しく握り返してくる手に堪らなくなり、暁の舌に思いっきり噛みついた。
暁の中がキュウと指を締めつける。

「ん゛っ!…っひた…」

鉄の味が広がった。
暁の眉間に皺が寄った。
痛いんだろう。
暁の血だと思うと無償に興奮し、吸い上げた。
何度も何度も舐め、絡める。

指を前立腺に当てる度、暁の腹筋に力が入る。
前立腺をわざと外すと当てようと、しなる腰がいやらしい。

「あっ、んむ、…ふ、ん…」

吐息も、声すら逃がしたくなくて、こいつの全部が欲しくて舌が痺れるくらい味わった。
暁は終始、焦点の合わない顔で俺を見つめ、頭を撫でてやると目を瞑った。







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -