龍の鬚を蟻が狙う


湯船から出され、浴槽に座る、加賀見の膝に座らされた。

シャワーを頭からかけられ、抵抗すると、加賀見にもお湯がかかった。

「お前…」

加賀見がどんな顔をしてるか、安易に予想できて、ちょっと怖くて振り向けなかった。

でも加賀見がこんなことしなければ濡れなかったわけだし、俺には抵抗する権利があるんじゃないか?
と、いう結論が出たので、抵抗を再開した。

抵抗はするものの、腰をガッシリ固定されているし、後ろから延びてくる手に乳首をくにくに捏ね回されると力が抜ける。

「ちょっ…やめ、ろよっ…」
「黙って、感じてろ」

色っぽい声で耳元で囁かれるとゾクゾクした。
男の俺にまで通用するんだから、加賀見の色気は、只者じゃないな。
生意気な。

「さっき、したばっ、…っあ、だろー…がっ」
「一回くらいで足りるわけねーだろ」

お前の性事情なんて知らねえし。


加賀見はボディーソープを手に取り軽く泡立て、俺の背中に手を這わす。ビクッと体を震えた。

「ちょっ、自分で、でき、る」

さっきの余韻が残っているらしく、体が敏感なようで声まで震えていた。

脇腹を撫でられると、くすぐったさに、身体が捩れる。

体を、反転させられ、加賀見と向き合う形になった。加賀見の肩や鎖骨が見える。
赤い髪から水滴が滴り落ち、妙に色っぽくて直視できない。

「ひゃうぅっ!やめ、ろよっ!」

乳首を吸われた。
ちゅうちゅう吸ったかと思うと、噛まれた。

「痛っ!…ぃだいっ!ばかっ!」

血が出てるんじゃないかと思うくらい痛かった。
髪を引っ張ると、やっと離された。

痛くて若干、涙目の俺を笑うと、親指で涙を拭ってくれた。
唾液を絡めるように舐められ、クラクラする。

「ああっ、…はあっ!ん、ふっ」
「思い出したかよ?」

ニヤッと笑われて、しょうがないから、頷いた。
たぶん顔真っ赤だ。
加賀見は満足げに笑った。






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