龍の鬚を蟻が狙う

その後、暁を風呂に入れて、自分の服を着せると、征服欲が満たされた。
普段は涙目で睨んでくる目も優しく閉じられ、口は半開きだ。
思わずキスして、口内を貪ると微かに反応を見せ、さすがに唇を放した。
寝ている人間に欲情したのは、はじめてだった。

髪を乾かしてやると、いつもは不自然じゃない程度に立ててある髪もペタンとへたれていた。
何だかいつもより幼く感じた。
こいつのこんな姿を見たことのある人間は、この世界にどれだけいるのだろうか、そう考えると、その僅かな人間への嫉妬と、そうではない人間への優越感。



お仕置きと称して暁を抱いた。

暁を見てると苛めてやりたくて、しょうがなくなる。
何度でも抵抗してくるから、尚更だ。

だが逆に俺がどんなに酷いことをしても抵抗し続けて欲しいというよくわからない欲望も秘めていた。


風呂にお湯を入れ、俺に大人しく抱えられる暁に、笑いが込み上げてくる。
もっと。
もっとだ。
こいつが欲しくて欲しくてたまらない。
それこそ喉が手が出るほど。


全部を支配して、服従させたい。たくさんの屈辱を味わわせて、屈服させたい。
依存させて俺無しでは生きられないようにしてやりたい。

出来ることなら、監禁でもして俺以外は見えない世界に閉じ込めてやりたい。
俺以外にあいつを見せてやりたくもない。


暁が俺以外の奴に笑いかけてるのを見ると、無性に泣かせたくなった。
いざ、本当に泣かせると、泣かせたのは俺なのに、その泣き顔を見て、余裕を無くすのは俺だった。
体が熱くなる。


いじめて、泣かせて、これ以上無いってくらい、傷つけて壊してやりたい。
それと一緒にドロッドロに甘やかして依存させてお前には俺しかいないっていう気持ちにさせてやりたいという、二つの感情をごちゃ混ぜにしたように、俺の感情は矛盾していた。

たまに優しくしてやると、どうしたらいいのかわからないと言うように困った表情で俺を見つめる暁が俺をたまらなく揺さぶる。

俺にとっては天敵のようなやっかいな存在のはずなのに、放したくなくて、傍に置いておきたくて、誰にもやりたくなかった。

ガキみたいなことを考える自分に笑い出しそうになった。







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