龍の鬚を蟻が狙う


眩しさに、眠りの世界から引き戻される。
ゆっくり目を開けると、一瞬どこにいるか、わからなかったが、すぐに思い出した。

俺はTシャツ短パンを着ていた。
加賀見のだろう、でかい。

上体を起こすと腰に鈍痛が響いた。
いってー。
キョロキョロして加賀見を探すとドアが開いた。

「あー…加賀見…お前ほんっとありえねえ!いてっ…」

加賀見を見上げると、何故か頭叩かれた。
叩きたいのは俺の方だ。

「起きたか、お前寝すぎ」
「んなこと、…ーっ!今何時!?」

学校!
つーか外どうみても朝!
遅刻!?
教師が遅刻!?

「今日は土曜だろ」
「……あ、あー…」

安心してまた枕に顔を埋めた。
加賀見の匂いがする。
あたりまえか。

でも新たな問題が発覚した。
青ざめていくのが自分でわかる。

「親御さんは!?」
「今日は出張でいねぇよ」
「……てか、俺、加賀見んちに…」
「泊まったなあ?」

にやりと笑われた。
やばくないか?
教師が一人の生徒んちに泊まるなんて…。
俺が頭を抱えていると

「言わなきゃバレねぇよ」

あーまあそうだな。
考えても解決しないし、過ぎたことは仕方ない。


「よし、万が一バレたら、加賀見が腹が痛くて痛くて仕方なくて俺が車で送って看病してる間に寝てしまったと言うことにしよう。男同士だし、信じるだろ」
「腹痛の看病って訳わかんねぇ」

バカじゃねーのって笑ったけどシカトだ、んなもん。



「加賀見、俺、腹減った」
「ククッ、お前一応生徒に何頼んでんだよ」

加賀見に言われて赤面した。
そういや、そうだ。

「まあいいか」

そう言われて抱き上げられた。

「ちょっ、待てっ…!歩けるから!」
「うそつけ」

意地張って言ったけど確かに腰痛くて無理だ。
犯人は疑うまでもなくこいつだが。

「ちょ、何で横抱き!?」
「お前が好きそうだから」

好きなわけねぇだろ!
つーか抱き上げられるのだって、ほんとはいやだ。
しょうがないから、されるけど。

お姫様だっこなんて初めてで、怖くて加賀見の首に腕を巻き付けギュッと抱きつくと、加賀見の動きが一瞬止まった。
何だ?
重いってか?

「お前ってほんと…」

ふっ、て珍しく優しく笑って、また歩き出した。
何か今日、加賀見が違う。


ソファーに下ろされた

「加賀見、煙草」

灰皿渡されて、ソファーの背もたれにかけてある自分のスラックスから煙草を取り出した。
くわえて火をつけて吸うと、はじめて落ち着いた気がした。

「お前その格好中坊みたいだな」

中坊は言い過ぎだろ。

「うるせぇばか」
「髪もな」

そう言って俺の隣に座り、頭ガシガシ撫でられた。
俺の髪は何もしないとペタンコだ。
そう言えば、こいつが風呂入れてくれたのか。
そういうの、しなさそうなのにな。
意外だ。

「お前だってそーだろ」
「あ?」

加賀見も普段はきれいにセットされている赤髪も、何もしていないのか下ろされていて、いつもより少し幼く感じる。
というか年相応?



飯は一緒にカップ麺食った。
なんか異常な光景だった。







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