龍の鬚を蟻が狙う


渋々運転していると、

「次の交差点、右」

とか偉そうに指示を出してくる。
さっきから思ってたけどこいつ何様だ。
仮にも俺は年上だし、先生だ。
不良にそんな常識は通じないのか。
それにしたって、こいつの俺様な態度はどうなんだ。
でも、その態度も見た目にピッタリだ。
そんだけかっこよかったら、誰もなにも言わない。
何でも許されそう。
前言撤回。
美形は得だ。

俺まで許してやりたくなってくる。
いや、許さないけど。


そんなことを考えながらも俺は素直に従っていた。

だけどほんとに素直に従うわけはなく、ケータイを奪う機会を伺っていた。

加賀見のケータイはスライドケータイだから逆側に折って壊すことは出来ない。
逆パカ不可能。
とりあえず破壊するしかない。

教師が生徒のケータイ破壊する計画なんて、非常識すぎる、とは思うが、しかたない。
非常事態だ。


赤信号で加賀見の方を見ると加賀見はこっちを見ていた。
計画がバレたのかとギクッとした。
顔に出てなきゃいいんだが。

「暁、ケータイ壊してぇんなら壊せよ」
「へ?」

思わず間抜けな声が出た。
どういう意味だ?

「うちにパソコンあんだけどよ、そこにさっき画像送っといてやったから」
「………」

なんてことしてくれたんだ。
成す術無しかよ。
どうすりゃいーんだ。

信号が青になったので発進する。

「暁の考えてることなんてお見通しなんだよ」
「…ふん」
「カメラなんてはじめて使ったな。最初のモデルになれて嬉しいだろ?」
「………」

嬉しいわけがない。
あほか。

「便利な世の中だな」

ケータイにカメラ機能を考えた人はお前みたいな使い方のためにつけたんじゃないだろーけどな。


そんなとき、ふと校長の言葉を思い出した。

「お前ってさ、俺にしたようなこと、色んな先生とか生徒にしてんのか?」
「ククッ、なに、やきもちか?」

喉を鳴らしながら笑う。
バカにしやがって。

「ちげぇよ!ばか!校長に加賀見は暴力的だとか聞いたんだよ。暴力的ってのを俺は、殴る蹴るすることだと勝手に思ってたんだけど、性的暴力って意味なのかと思ってよ」
「性的暴力ぅ…?しねーよ、そんなことするほど飢えてねぇし」

確かにな。
こんだけ美形なら何もしなくても寄ってくるよな。
冗談にも自慢にも聞こえない。
事実を述べているだけなんだろう。
俺も言ってみたい。

「まあ、教師だろーとムカついたら殴るくらいはするけどな。暁には手ぇ出さねぇよ」
「……そりゃどうも」

違う意味で手出されたけど。
信じたくないが。


「お前、男がすきなの?」
「んなわけねぇだろ。まず勃たない。AV見ながらなら出来るかもな」

と、怪しく笑って言った。
俺ならAVかけてても、男のケツ見たら萎えそう。


「じゃあ何で俺にはしたんだよ」
「あ、次の道、左」
「聞けよ!」
「なんか暁って苛めたくなるんだよな」
「は?」
「無償に泣かせたくなる」
「なんだと、てめ、こら。っておい、じゃあそれでヤったのかよ?」
「まあ、そうだな」




じゃあ、いやがらせのためにヤったのか。
どんだけ嫌われてるんだ、俺。

さすがに悲しくなってきた。
俺が加賀見に何したって言うんだ。


生徒にそこまで嫌われてるって教師としてどうなんだろう。





―――――
もはらです!
先に謝っときます!
ごめんなさい!
エロ入れられませんでした!
書く気だったんですがこのまま行くと無駄にだらだらしそうだったので、それなら次に回してガッツリ書こう!
という結論になりました。
というわけで次は書くんで許してください!
見捨てないでください!(必死)
エロくもないというのに見てくださってありがとうございました!
とっても嬉しいです!
次も頑張るんでよければ見てください!
感想、意見、質問はclapにお願いします!







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