監禁ボツネタ


あれ…?
今何時だ…?
会社…行かなきゃ…。
でも、暗い。
え、まだ夜?

「ふぐっ…!んぐ!?」

え!?
しゃべれない!?
口に何か入ってる!?

手も…足も動かせない!
無理矢理、手足を動かそうとすると、ガシャンガシャンと金属音がした。
鎖か何かに繋がれている。

目も…暗いんじゃない。
布か何かが当てられている。

背中の感触から、床かどこかに、寝かされているのがわかる。

何なんだ、これは?
何処なんだ、ここは?
誘拐か?
俺、誘拐されたのか…?
何で俺なんか…。

どうしたらいいのか、自分がどうなってしまうのか、わからなくて、恐怖だけがそこにあった。
悪い冗談か?
夢か?
夢なのか?


「あー起きた?」

不意に男の声がした。

味方か!?
犯人か!?

目は見えないので声のする方へ、できる限り、体を捻る。

「ふぐ!…ふぐぐ!」

パチンと音がして、視界は相変わらず暗いが、ほんのり明るくなった気がした。
電気つけたのか?

「騒がない?騒がないんなら、口のそれ、とってあげるよ」
「んん!んんっ!」

ブンブンと大きく頷くと口に入っていたものを取り出してくれた。

声の方へ話しかける。

「俺…誘拐されたのか…?」
「んーまあ、そうだね」
「なっ、なんでだよ!?俺、金なんか持ってない!」

俺自体も大した金持ちでもなければ、実家も一般家庭で、普通に暮らすのが精一杯で大した贅沢もできない、どちらかというと貧乏。
俺自体も、最近、引き抜きをされて職場が少し変わったくらいで、平凡に生きてきたつもりだ。
恨みを買うようなことをした覚えもない。

「お金が目的じゃないよ」
「じゃあ、なに…」
「殺してやる」

空気が一変した。

それまで、どこか俺をあやすような、敵ではないような、優しい雰囲気を持っていた男の言葉は恐ろしく冷たかった。

俺はなにも言えず、なにも出来ず、ただ震えた。
その言葉が、冗談やハッタリだとは思えなかったからだ。

「うそうそ。殺してやろうと、思ってたんだけど、やめたよ」

その言葉に、震えが少し収まった。
だけど次の言葉に俺は再び震えた。

「殺すなんて、もったいない。殺すよりもっと屈辱的で卑劣なことをして」

声が近づいてくるのがわかって、男の言葉を理解していくと、先程よりも大きく身体が震えた。
男の声は、先程と同じく冷たく憎しみのようなものを感じた。

恐い。
恐いのに声が出ない。
恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い。
来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな。

男は続けた。

「殺してくれって、言わせてやる」

恐怖からか、涙が溢れて、目を纏っている布に染み込み、気持ちが悪かった。


―――――
スカメインで書くつもりでしたが、一向に続きを書かず、時間だけが経ち、そのまま流れました。
気が向いたら続き書こうかな。




2010/11/18 11:28





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