「俺行くで。」
「うわマジで!?侑さっすがぁ!」
「えー、侑の奢り?」
「そんなわけないやろ!」
侑が輪に入れば、なんの探りも無くすぐにその申し出が承諾される。
アイスの買い出し2名を決めるジャンケン。それにいの一番に負けてしまった菫を振り返り、色んな感情を飲み込んで笑った。
「中原さん行こか。」
『あ、うん。コンビニ行くまでにみんなまとめてメッセージ送って。着いた時点で締め切りだからね。』
「え、嘘やん鬼畜すぎん!?なにあるかわからんやん!」
『そんなの運でしょ。いってきまーす。』
「こら菫ー!ちゃんと教えてやー!」
「侑しっかり頼むぞ!」
冗談交じりの菫の言葉を聞いてやいやいうるさい彼らに軽く後ろでを振って歩き出す侑。隣に並んだ菫に合わせるようにいつもより少し歩みを遅くする。
菫と並んで歩くのはこれで三回目。そして今回に至っては、周りには誰も居ない。いくら自分からこの状況を作ったからといって何も緊張しないわけではない。
制服でも、学校指定のジャージでもない彼女。髪を巻くだけで女はこんなに大人っぽくなるのか。その綺麗な髪がフワフワと揺れているだけで思わず凝視してしまう程によく似合っていて。視線を感じたらしくゆっくりこちらを見上げたその大きな瞳と目が合う。
『どうしたの?』
「っえ、あ、なんもないぼーっとしとった。」
『疲れた?ごめんね、折角のオフなのに。』
「ちゃうちゃう!疲れたとかではない、全然ッ」
『ほんと?気遣わないでね?』
菫は優し気に微笑んだかと思えば、また少しだけ申し訳なさそうな表情に変わって侑の胸がチクリと痛む。
心配してくれているのだろうし、先程まで一緒に騒いでいた人物が急に静かになればそう思ってしまうのだってよくわかる。それでも何故か腑に落ちず、侑は誤魔化すように笑った。
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