楽しそうで、それでいて自由で。時折背筋がぞっとするような存在感と眼が菫の視線を惹き付けた。今まで見てきた愛想の良い侑とは全く別人だった。

その感動を伝えんと、思わず先程の三谷のように興奮気味に感想を語る菫。相手が佐久早ではなくニコニコと話を聞いてくれる侑である所為かいつもより少し早口になってしまう。夢中で話していれば学校で話す時よりも話が弾んだ気がして菫は気付かない内に微笑んでいた。





『宮くんめちゃくちゃカッコ良かった。セッターって色んな人に合わせるんでしょ?みんながパズルみたいにハマってて、それが出来る宮くんの凄さが伝わった。』





詳しいルールなんかはわからない。覚えたところで試合中にそれがわかるかどうかはまた別の話で、ボールを目で追うことに必死な菫にしてみれば到底無理な話だった。

けれど観ているうちに少しずつ選手にも目がいくようになったから、今回の稲荷崎の試合でも侑や治達の動きが目に入ったのだ。所謂慣れだ。

そして侑のプレーは、いつか佐久早に聞いた"違和感のない、綺麗な攻撃こそセッターが上手い証拠"という言葉がまさにピッタリで。流れるように、初めからそこにボールが来ることを知っていたかのように。元々そうあることが当然かのような自然さは、今までに感じたことが無かった。

素人目でもわかる侑の凄さ。そして何より、プレーする侑は眩しい。

ただそんな言葉は言われ慣れているだろうに、彼は菫の率直な感想を真っ直ぐ受け止めてくれる。





「………あかんめっちゃ嬉しい…」

『うそ、そんなに?私大したこと言ってなくない?』

「ええねん、」





その後何かゴニョゴニョと言っていた気がして侑を見るが彼は何でもないと首を横に振る。彼がどこに向かうつもりなのかは知らなかったが、結局三谷と合流するまで一緒に居てくれた侑はやはり噂とは違うのだと感じた。
05
back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -