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「道香これ答え何?」
『自分で考えなよ。』
「考えた考えた。だから教えて。」
『地殻変動』
「オイ嘘だろ今やってんの数学だぞ」
急遽自習になった6限目。課題のプリントを真剣に解いている道香に、隣から邪魔が入る。毎度のことではあるが、道香はプリントと真っ直ぐに向き合ってペンを動かし黒尾の方には目もくれない。
「なあー」
『数学は黒尾の方が得意でしょ?逆に1番最後の問題教えてよ。』
「まだそこまでいってねえもん。」
『じゃあそこからやって。それ教えてくれたら1問目だけ教えてあげる。』
「問題のレベル違いすぎじゃね?」
ずっと下を向いていた道香の目がゆっくりと黒尾を捉える。道香がゆっくりと顔をこちらに向けるその瞬間が、黒尾は好きだった。
邪魔をされたことに少しだけ口を尖らせた道香に、薄く笑みが溢れる。
『ここどうやって解くの?』
「ちょっと待てよ、ここはー…」
『ねー早く。さっさと終わらせてお昼寝したいんだって。』
「おー」
『まだー?遅くなーい?やっぱ前のテスト採点ミスだったんじゃ』
「違ぇよ。」
黒尾が課題に向き合い始めると、今度は道香がしきりに話しかけて邪魔をして。要するに、お互い様である。
それでも必死に自身の注意を引こうとする道香が可愛くて仕方ない黒尾は、すぐに顔をそちらに向けそうになるのをグッと堪えながらペンを動かす。
『昨日の部活のパイプやってたとこさ、あれ動画撮りたかったから今日もっかいやってくんない?』
「あ?紅白戦の?」
『うん。あ、黒尾こっち向いたはい負けぇー』
「その勝負はしてません。はい、最後の問題できたぞ。」
『マジで?さっすがあ!』
「丸写しすんなよ、自分で解けよ。」
『ねえそのセリフそっくりそのまま返ってくるってわかってて言ってる?』
黒尾からプリントを受け取り、ジト目で彼を見る道香。先程まで写させろと言っていた者が言えるセリフではない。
それを鼻で笑った黒尾は、言われた通りやり方だけを見て自分で問題を解き始めた道香にしつこく話しかけるのだった。
「オフどこ行く?どこ行きたい?」
『……その前に二次予選』
「それ楽しみに頑張るんだけど俺。」
『今の夜久に言っとく、たぶん外周黒尾だけ増えるから。』
「オイオイオイ。…あ、やっぱ前行ってたランド?」
『カチューシャ付けてる黒尾とかウケ……あ』
「ウケる?おまえ今バカにした?」
『合宿の罰ゲームまだやってないよね。めっちゃいいの考えてるから今日やろう。』
「それは忘れとけよ。」
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