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『ねえ見て見て!知ってた!?』
試験最終日。いつも朝練終わりに教室に来る時間より少し早めに到着した道香が、既に教室内に居た黒尾と夜久に駆け寄った。
興奮気味に彼女が突き出すのは、某赤い服を着た黄色いクマが映るSNSのトーク画面。
「"合宿行くよ"?」
「…あ、これ烏野?」
『そうそうそう!うちの合同練習と合宿来るんだって!』
「それ昨日コーチに聞いたわ。」
『いやそういうことは言ってよ!』
トークの相手は烏野高校の清水。梟谷グループの合同練習に、今年は彼らも参加することになったようだ。手放しで喜んでいる道香に黒尾がそう言うと、道香は口をへの字に曲げて黒尾の肩を叩く。
道香と同じく初耳らしい夜久も、だらしなく口元を緩める黒尾の二の腕に拳を入れた。
『もう最高じゃない?今日のテストとか余裕なんですけど』
「マジで?じゃあ勝負する?」
「いいなそれ、やるか?」
『絶対勝てるんだけど。え、いいよ全然私は。だって余裕だし。』
「言ったな?お前後悔すんなよ?」
「よォーしじゃあ何する?罰ゲーム。」
軽い調子で始まるテストの点数での勝負。突然始まるそれに、前回ダントツでビリだった黒尾がニヤリと笑う。今日の教科は彼の得意分野のようだ。
この教科は道香が苦手であることはもう随分前に知っていて、こうして勝負をふっかければ断らないことも知っている。
夜久も夜久でこうなれば絶対に乗ってくるので、いよいよまんまと黒尾の策にハマってしまった2人。呑気に罰ゲームは何にするかと案を出し合っていた。
「パシリとかは別に面白くねぇからな。」
『え、女装は?めっちゃよくない?』
「それお前だけいつも通りだろ。」
「いや、アリじゃね?道香が負けたら猫耳は?」
『じゃあ黒尾か夜久、負けたらミニスカ&ニーハイね。足の毛も全剃りで。』
「(猫耳か…)」
「(ショートカットだしアリだわ)」
「「よし乗った。」」
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