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『きよちゃーん!夕くーん!』

「道香さん!お久しぶりっス!」

『あれっスガ君!』

「久しぶりー!」

「道香が来るならって、言って聞かなくて。」

「またまた清水はー!俺をわがままな子供みたいに言う!」

『(的を得てるかもしれない)』





仙台駅。約束通り駅まで迎えに来てくれた清水と西谷に並んで勢いよく手を振っていた菅原。道香が驚いたように口を開けば、気持ちが高揚しているのか菅原はいつもより大きな声で返事を返した。

約2か月半程前に会った彼らは、どことなく大人びた雰囲気を醸し出している。





『またみんなに会えるなんて嬉しいなあ。』

「俺もっス!」

「そういや桜井さん、黒尾と付き合ったんだって?」

『あ、え、』

「菅原、その話は後でゆっくり。」

「それもそうか!」

「おめでとうございます!悔しいっスけど!」





俺も頑張ります!そう言って何故か握り拳を作った西谷。一体何を。3人の気持ちが一致するも誰も聞かず。それどころか頑張ってと暖かい保護者のような目をした道香を見て、清水は澤村を連れてくるべきだったと数日前の自分を咎めた。

今日は約束通り宮城を案内してくれるらしく、今日一日のスケジュールを見せる清水。念入りに下調べをしてくれていたらしいそれに道香はパッと花が咲いたように笑う。





『きよちゃん…!良いお嫁さんになるよッ!』

「大袈裟だよ。」

「天使スマイルッ!」

「おおおおおう……久しぶりだと眩しいな…」

「道香は行きたい所ある?」

『正直みんなに会えたらなんでも…あ!烏養コーチのお店!行ってみたい!』

「え、そんなのでいいの?」

「そんなのって清水…」

『話聞いてたら行きたくなるじゃん?』

「肉まん食いましょ!奢ります!」





ゆっくりと歩きながらそう笑う道香に、清水は拍子抜けした後薄く笑って彼女の申し出を了承して。一先ず昼食の為に店を目指す道中、道香は黒尾の着いたか?というメッセージに彼らの写真で返答した。





「あれ、黒尾?」

『え、あ、うん、』

「道香が照れてる」

「道香さんが幸せそうで何よりです!」

「西谷はすっかりファンだなあ」

「相談ならいつでも乗りますよ!」

『マジで?夕君男気溢れてるから助かる。』

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