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『おーいリエーフ、風邪ひくよ』
「ん゛ーーー…」
「ダメだこりゃ」
「完全に電池切れだなあ」
大部屋にて。全員で放送されていた本日の試合中継を見たり、カードゲームに興じたり。ひとしきり遊んだ後、灰羽が電池切れのように目を閉じて動かなくなった。先程まで道香の隣で騒いでいたのが嘘のようだ。
『ていうか研磨布団敷くの早すぎない?』
「疲れた…」
『まあそれもそうか』
「おい研磨、もう一組布団出して」
「……」
「あはは、嫌だって。」
孤爪の無言の拒否。ゲーム機からこちらに向けた目は薄っすらと充血していた。
そうこうしているうちに犬岡が敷いた布団に灰羽を横たわらせると、就寝しようかということになりみんなで布団を敷き始める。
道香は壁際に寄って座り込み、スマートフォンのデータを見ていた。今日だけでもかなり枚数は増えた。終わってしまうのかと、少し寂しい気もするが。
「道香どうする?もう寝るか?」
『あー、そうだね。』
「おいおまえら、寝る準備だ。」
「ハイッ」
道香が黒尾の問いにゆるりと頷けば、今日はもうおしまい。なんとなく、あの騒がしさが恋しくなって。
何を思ったのか、道香は傍らにあった一組の布団に潜り込んだ。
『おやすみ』
「………オイオイオイオイ」
「バカか、オマエは本物のバカか!」
『なんで!いいじゃん今日くらい!』
その瞬間、黒尾と夜久が同時に道香の布団を奪いにかかった。2人係で来られては道香も太刀打ちできず、呆気なく掛布団を奪われ座り直す。なんとなく、この輪から外れ一人になるのが寂しかったのだ。ただ年頃の男女が寝床を共にする等言語道断。何かあってからでは遅いと、黒尾が目を吊り上げる。その姿はまさに。
『もうパパ、心配しすぎだって。ちゃんと部屋の隅っこで離れて寝るから、ね?』
「ダメダメ。絶対ダメ。」
過保護な父親。誰もがそう思うほどの見事な心配っぷり。見かねた海がまあまあ、と母親の如く乱入し、結局部屋の隅っこに布団を敷いた道香は満足気に眠った。
「オマエラ、道香の寝顔見たら潰すからな。」
「寝顔もなにも、道香あっち向いてるから見えないと思うけど。」
「言っとくけどそれはおまえもだからな、黒尾。」
「…もう電気消そうよ。道香絶対寝てるよ。」
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