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『どう?美味しい?』

「美味いっス!」

「イイお嫁さんになれますね!」

『え、ホント?芝山貰ってくれる?』

「ハァ!?道香チャン!?何言ってんだおまえ!」

『いや冗談なんだけど。なんで黒尾がどもってんの?』

「アア゛ン!?」





道香特製のはちみつレモンを奪い合うように食べ、全国大会行きを決める最後の試合へと士気を高める音駒。

雑談もそこそこに全員で集合し、再び体育館へ向かって。先程と違った白いユニフォームを身に着け貴重した面持ちの芝山に、道香が笑う。





『そんな緊張しなくても大丈夫だって。』

「…え、は、あの、」

『前言ったでしょ?芝山は未来のスーパーリベロなんだから。』

「………ハイ!」





誰よりも勝ちたいと、焦るはずの3年生である道香が余裕そうに笑っている。否無理やり笑っているのかもしれないが、今の芝山には十分に効果があったようで少しだけ口角を上げた。

イイ顔になった。そう笑みを濃くし、道香は目を瞑る。隣には、苦楽を共にしてきた同級生3人。これほど心強いことは無いだろう。





「行くぞ。」





静かな黒尾の声が響くと、全員の呼吸が揃ったように一斉に体育館内へと足を踏み入れた。

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