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「我が音駒高校男子バレー部のマネージャーは天使だ。」

「「ハイ!」」

「ーーーで、2日後にはウワサの烏野高校との決戦なワケだが。我らが因縁の相手(らしい)烏野に女子マネージャーは居るか否か!!俺は居ない方にハーゲンダッツ!!」

「えーっ!俺は居た方がうれしいから居る方で!」

「僕もですっ」





男子部屋にて。2日後に控えた対烏野戦に、違う意味でメラメラと闘志を燃やす山本。もうすぐ就寝時間なのだが、どうやらお構いなしらしい。

目の前で反対する1年2人をよそに、山本は続けて語り出した。





「バカヤロウ!うちに天使みたいなマネが居てあっちにも居たら悔しがられないだろうが!!万一居たとしてもゴリラみたいな奴だったら許す!!」

「「えー…」」

「うっかりもしかして美人のマネが居たりしたら俺は絶対に許さないっ!!」

「「(涙目だ…)」」

「その時は覚悟しとけよ烏野ーーーッ」

「山本うるせぇ!!」





窓を開けて外に叫ぶ山本。黒尾がうるさいと怒鳴っても、山本には聞かず彼は孤爪に話を振る始末。
そしてその孤爪の珍しい言葉にまた山本が叫んだ瞬間、スパンと勢いよく扉が開き天使と言われていた彼女が姿を現した。





『虎うっさい!』

「道香さんっ」

「お前もうるせぇよ」

『みんなでUNOしよ。』

「なんでだ。」





静かにしろと怒りに来たと思いきや。道香が訪れた理由はそうではなかったようだ。

右手に持ったUNOを突き出しそう言うと、黒尾のツッコミも虚しく後輩達は早速道香を囲む。
もちろん、夜久や海も同じように輪に加わって。





『あれー、黒尾やんないの?』

「やるやる、やります。」

「やんのかよ。」

「ハーイ失礼しまーす」





カードを混ぜる道香とその隣に居た夜久の間に割り込む黒尾。明らかに狭いそこに体格の良い黒尾が割り込む隙間などあるわけもなく、半ば上に乗っかられているような夜久が思いっきり黒尾の腕を殴った。しかしそれでも黒尾は引かない。

見かねた海が夜久を宥めたところで、道香がカードを配り始める。ゲームが始まってしまえば夜久もそちらに夢中で、道香のお風呂上がりというたまらない状態にニヤニヤする黒尾に気付いていたのは輪の外で1人ゲームをしていた孤爪のみだった。





「次…青な(良い匂い)」

『無いってば。…はい、走』

「(マジで可愛いわー。てかシャンプー一緒のだよな?全然違う匂いするんだけど)」

「…クロキモイ」

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