Corazón | ナノ




Déjame pasar


私たちが辿り着いたのはスパイダーマイルズという街のゴミ処理場倉庫で、周りには瓦礫なんかが山のように積まれていた。ここがアジトだと教えられ、中に入ると思っていたよりも清潔。ゴミ処理場倉庫なんて気持ちのいいものではないと思っていた私はほっと胸をなでおろす。


ベビーファイブがホームと呼ぶそこには小さいながらも沢山の部屋があり、私にも一室が与えられる。
部屋の窓を開けているとコツコツと二回鳴らされたドアからゴーグルの男の人、グラディウスが顔をのぞかせた。


「来い」


一言だけ告げた彼はドアから姿を消すから追いかけるように私が部屋を出るとグラディウスはこっちだ、と足を進めた。
大人の歩幅について行けるほど私の足は長くなくて駆け足で後に続く。


「さっきはすまなかった」


突然聞こえた謝罪に顔をあげると、グラディウスは前を向いたまま。何に対しての謝罪なのかは思い当たることが多すぎてわからなかったけれど、本当はいい人なのかもしれないと私はうん、と小さく声を漏らした。




彼がある部屋の扉の前で止まったので足を止める。開かれた部屋の中には病院の先生のような白衣を着た人と”若様”。


こんにちわと優しく告げられた言葉にこんにちわと返事をするも、私の頭の中は疑問符でいっぱいだった。


「診察だ」


上から降ってきたグラディウスの声に、やっぱりお医者さんなんだと白衣を着た人に納得。
先生の前に置かれている丸椅子に私は座るといくつかの質問、本当に病院のような診察だった。血も抜かれ、結構な時間が過ぎたと思う。
私の診察の間、お医者さん以外の2人は部屋にはいなかったので気持ち的に少し楽だった。


診察が終わるのを知っていたかのようなタイミングで若様が入ってきて診察結果を先生が話し出す。
私は嘘がばれてしまわないかとドキドキしていたけれど、闘魚のように角が生えてくるのには個人差がありまだ2年と少しのリミットはあると告げられた。私は何度目かわからない嫌な汗を背中に感じ、これも何度目かわからない安堵のため息。


でもよく考えると2年で嘘がばれてしまうのかと自分自身にもリミットがあることを感じた。
その後続けられたのは私の病気の話で
走ったりしたらいけないよ、と母さんの言っていたことと同じことを言う先生にわかったと理解を示した所で終始黙っていた”若様”が出て行って話は終わった。
私の病気は心臓病、症状はたくさんあるけれど私のモノは重度らしい。


「あと2年、だし...」


部屋を出て自室に戻る廊下で私はひとりごちた。


戻る


top
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -