拾いました | ナノ




はじめまして
(マルコ視点)


モビーディック号に戻った俺とエースは報告のため”オヤジ”のいる部屋へ足を進めた。もちろんなまえを腕に抱いたまま。足を進めるごとにサッチやイゾウ、ハルタなどから”なんだその子どもは”なんて視線を向けられる。一番食いついたのはサッチだ。


「なあマルコ?子ども拾うなんてめずらしいな」


明日は槍でも降るんじゃねえか?というサッチの言葉。


「うるせえよい。俺にも人並みの優しさってもんはあるんでい」


気持ちわりい、と言葉を漏らすサッチに、だよな、なんて返すエース。黙れという言葉は話が長くなるからやめておく。オヤジの元へ急いでナース達になまえの手当をしてもらわねえと。


「オヤジ」
「おお息子たち。島の様子はどうだ?」


あらかた島の状況報告のあと、エースを部屋から追い出しなまえのことをオヤジに話す。俺からのなまえに関する話は島の状況報告と違って聞いていて聞いていないようなものだった。


「グララララ...ガキを見せてみろ」


なまえをオヤジの腕に託すと、なまえが一層小さく弱く見えた。オヤジの腕に託すとき、なまえも目が覚めたようだった。


「ガキ、おめえ名前は?」


なまえはオヤジの人並み外れた大きさとその迫力にぽかんと口を開いたまま固まっている。しばらくその状態だったものの、小さな声で名前を発した。


「グララララ!小せえ声だなあ。なまえ、おめえは俺の娘になりてえか?」
「むすめ...?」
「そうだ。この船に乗るってことは俺の娘になるってことだ。わかるか?」
「おじさん、なまえのとうさんなる?」


ああ、そうだ。とオヤジが言うとなまえは複雑な表情をしながら、だが嬉しそうに、いいよ。と照れながら返事をした。オヤジのいつもの笑い声が部屋に響いた。若干なまえはこの船に置いてもらえるという立場を理解できていないようだが幼いことは罪ではない。オヤジはそういうことも受け止めてくれるでけえ男だ。


「よかったじゃねえかよい、なまえ。これから俺たちは家族だい。」


オヤジからおろされたなまえは小さな足音を立てながら俺の元へきた。これからナースのところでなまえの手当てをしてもらい宴の準備としよう。今夜はなまえの歓迎会だ。
なまえを抱き上げるとオヤジの部屋を出た。別れ際になまえはにこにことオヤジに手をふっていた。



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