今日は学校に行くなり朝からクラスの女の子たちに囲まれた。一体何事かと思いきや、昨日の六道骸とのことがそこら中で噂になっているとのこと。いつ知り合ったのかやら付き合ってるのかやら散々聞き回されて、もううんざりだ。昨日の時点でこうなることに気づくべきだった。廊下を歩けば女の子たちにヒソヒソと耳打ちされ、クラスでは六道骸のことばっかり。カッコイイと人気なことは知っていたけど、昨日でも十分分かっていたけど、まさかここまでだったとはびっくりだ。あんなやつの一体どこがいいんだろうか‥という疑問はあたしの胸の中だけにしまっておこう。


「ケッ!あんなヤローのどこがいいんだか」
「ちょ、獄寺くん!聞こえちゃうよっ」


慌てて獄寺くんの口をふさぐツナだかそれも遅くクラス中の女の子に睨まれる。でも今回ばかりは獄寺くんの意見に賛成だな。女の子に睨まれても睨み返す獄寺くんを止めようと必死なツナに思わず笑ってしまった。獄寺くんになに笑ってんだ、と怒られても今日はあんまり気にならなかった。だからだろうか。そんなあたしを睨んでいる数人の視線にもまったく気がつかなかった。







キーンコーンカーンコーン。一日を終えるチャイムが鳴り響きあたしはいつも通りかばんには教科書もなにも入れずに立ち上がる。昨日も今日もいつも一緒に帰っている友達が委員会なので先に帰ることになっていた。教室を出ようと歩き出すと、隣りの席のツナが慌てて声をかけてきた。ツナから話しかけてくるなんて珍しいな、なんて思いながら振り返る。


「あ、あのさ。えと‥気をつけてね!」
「え?」
「や、なんと‥なく?俺もよくわかんないけど‥」


ツナの言葉にあたしは思い切り笑う。なに言ってんの、人の心配する前にまずは自分の心配をしなさい!そうおどけてみせると、気にしすぎだよね、と笑うツナ。そうこうしているといつものように獄寺くんがやってきてまた十代目がなんたらかんたらーと騒ぎ出したので、慌てて逃げてきた。獄寺くんってツナが関わるとやたらうるさいんだよね。教室を出る頃にはツナに言われた言葉なんてすっかり忘れていた。
教科書もなにも入っていないかばんを持って学校を出て一人で帰る。いつもは誰かしら一緒なので一人で帰るのは久しぶりだ。遠回りでもしようかな、そんな呑気なことを思いながらのんびり歩いていると公園から女の子たちが数人目の前で立ち止まった。びっくりして見上げると、一人の女の子に腕を引っつかまれてズルズルと公園の奥に引きずり込まれる。一瞬の出来事で抵抗する間もなかった。ドンッ!、公園の奥にあるトイレの壁にたたき付けられて顔をあげると数人の女の子たち。


「な、なに?」
「とぼけないでよ!あんた何様よ、骸さまに近付いて!」
「え‥」
「知らないなんて言わせないから!」


興奮している女の子たちの目があたしを映しているのが見えて、それが怖い。みんな六道骸が好きなんだ、初めての出来事に混乱する頭でそれだけはすんなりと理解した。ジリジリと近付いてくる女の子たちに、昨日あんなやつと一緒に帰ったことを激しく後悔した。

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