「銀ちゃん」
「んー?」
「誕生日おめでとー」
「もうそんな時期?」
「そうだねー」
テレビを見ながらソファーでまったり。二人っきり。のんびりで和むなあ。
「残念ながらプレゼントはありません」
「お前でいいんじゃねーの?」
「……」
「うん、謝るからそんな目で見ないで」
プレゼントはわ・た・し!なんて言ってる自分の姿が一瞬だけ頭をよぎった。へんなの。まあ銀ちゃんがそれで喜ぶなら、それもアリかもしれないなあ。
「いつもと変わらないのに銀ちゃんの誕生日なんだねー」
「何が言いたいの」
「私たちらしいね」
「そうだなー」
「パーティーとかしてほしかった?」
「いいんじゃねーの、いつも通りで」
二人で占領するソファーの心地よさ。いいとも!と叫ぶテレビ番組。死んだ目にふわふわの天パ。その隣にわたし。これでいいんじゃないの。十分じゃないか。
「銀ちゃん」
「んー」
「好きよ、すごく」
「お、プレゼントになる決心できた?」
「……」
分かった、分かったからその目やめろ。ごめんなさい。なんて言う銀ちゃんのほっぺにキス。「銀サンはこっちがいいなー」次は唇に落ちてくる。いつも通りこうやって愛を確かめ合って、のんびり過ごせればいいよね。けどやっぱり銀ちゃんが生まれてこなかったら、きっとこんな幸せはないだろうから。だからこの唇が離れたらもう一回「おめでとう」って言うんだ。そしてわたしは「生まれてきてくれてありがとう」ってまたキスをするんだろうなあ。
HAPPY BIRTHDAY!
(101010)