「俺のいちご牛乳」
「うん」
「なくなってる」
「飲んだ」
空っぽのパックをひらひらと振って見せた。そりゃないだろー。ごめんごめん。
「糖分なきゃ死ぬ」
「死ね万年金欠」
「……」
「いちご牛乳買うくらいなら牛乳買ってよ」
「なんで」
「お財布に優しいから」
「なるほど」
後味があんまり好きじゃない。甘ったるい。やっぱり牛乳が飲みたいなぁ。なんで銀ちゃんはこんなもの毎日飲んでるんだろう。
「いちご牛乳のどこが好き?」
「甘い味がするとこ」
「じゃあ牛乳に砂糖入れて飲めば」
「……」
「牛乳じゃだめ?」
「だめだめ」
「いちご牛乳?」
「うん」
「いちご牛乳甘すぎ」
「ガキにはその美味しさがわかんねーだろ」
銀ちゃんは勝ち誇ったように笑った。ガキなのはどっちだ。こんな甘ったるいのが好きだなんて。
「いちご牛乳になりたい」
「お前頭大丈夫?」
いちご牛乳はあんまり好きじゃないけど、いちご牛乳みたいになりたい。ピンク色でほんのりあまい、そんな甘ったるい女の子。もしいちご牛乳が女の子になったらきっと可愛いんだろうなぁ。銀ちゃんべた惚れだろうなぁ。いや待てそれはちょっと困る。
「今のあたしはまだ牛乳だ」
「ホントに頭大丈夫?」
まずはピンクが足りないや。