短編集 | ナノ



 ナイは昔から身体が弱く、大人になるまで持つか分からないと言われる程だった。
 現に大人となれた今でも、病気で寝込まない日の方が少ないくらいだ。こんなに体調を崩して、いい加減病気になるのもあきないのか。ナイ自身も、もううんざりしている事だ。
 けれど、いつも何処からか風邪を貰って来てしまう。昔のように死にかける事は無いにせよ、両親や友人達には心配を掛けっぱなしだ。申し訳ない。

 とは思うものの、だからと言って風邪のたびに、部屋から出してもらえないのは如何なものか。
 これでは、もはや軟禁状態じゃないか。

「だから、此処から出してもらいたいんだけど。」
 今日も風邪っぴきなナイは、訪ねてきた友人にそうお願いしてみた。が、当たり前のように拒否された。それもそうである、誰がこんな病人を外に出すと言うのだろう。
 しかし、ナイももう飽きていたのだ。だって、先月も二週間寝込んだ矢先の話だ。
 頭では分かっていても、納得は出来ない。というかしたくないよね。そろそろ、部屋での一人遊びにも飽きてきた。

 むくれたナイは、毛布を目の辺りまで深く被った。因みに、頭まで被らなかったのは、一人になったようで寂しいからだったりする。
「ナイ、話題のお菓子買ってきたけど食べるかい?」
「食べる。」
 お茶を沸かしている友人にそう言われては、ナイも機嫌を直す他ない。何故って、ナイは甘味が大好きなのだ。その事を知っていて、上手くナイを動かすのだから、この友人は侮れない。
 友人のゲンガーも、ナイのムウマも、ナイが転がされているのが面白いらしく。けらけらと、笑い声をあげていた。

 ナイは、友人が買って来てくれた、可愛らしい一口サイズの餅を手に取り。それを半分に千切って、ムウマにあげた。
 実は彼には悪いが、今のナイには食欲がないのである。まぁ、茶で流し込めば、何とかなるだろうし。彼にも悪いので、食べないという事はない。それになにより、ナイは甘いものが好きだった。

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