短編集 | ナノ




 秋風が吹き始めた頃、ナイ達はまた引越をした。今度は古都エンジュシティの古民家を仮住まいとする事になったのだ。

 そして此の地で、ナイは初めて同族と出会う事となった。
 その力を畏怖され人から敬遠される少女、片やその能力の効果故に他人を忌避する少年。双方とも孤独に身を置く、悲しい子供。
 そんな二人だったから、
 よく似た者同士の二人だったから、引かれあう縁があったのだろうか。ナイとマツバとの出逢いは本当に運命的な奇跡の産物だった。
 たまたま、本当に気紛れにマツバが公園に足を向けて。偶然、その時にナイが一人遊びをしていたというだけの事。
 しかし、この時マツバは彼女が自分とよく似た力を持つ事を見て。ナイの方も確かにマツバに親近感を覚えたのだ。
 しかし、もしもマツバがナイの力を恐れたら二人は一緒に遊ばなかっただろう。そしてナイが率直でなかったらマツバは彼女と一緒に居たいとは思わなかった。
 実際にはマツバはナイの力を気味悪く思わなかったし、ナイは態度を偽る事が出来なかったから問題はなかったのだが。
 そんなこんなで、それから二人が気心の知れた友となるのにはそう長くかからなかったのだった。

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