まだ物心つく前より、ナイという人間には不思議な力が備わっていた。
物に触れる事無く動かせる力、所謂"サイコキネシスト"そんな摩訶不思議な力がナイに備わっていると気付いたのは両親だった。
例えば、ナイが一人遊びしている時に玩具が一人でに動いていたりとか。ナイに苦手な食べ物を食べさせようとすると、必ず皿がひっくり返るとか。
些細と言うには大き過ぎる、最早気のせいでは片付かないレベルのものだった。
子供ならではの癇癪を起こせばポルターガイスト状態。それに幼い子供は喧嘩だって手加減が出来ない、ナイが三つになる頃までに両親がどれだけ病院に通ったかは数え切れないものだ。
それでも、ナイの両親はナイを愛してくれていた。
幸いにも、両親はノンビリした性格でナイの能力も個性の一部として受け入れていたらしい。おかげでナイは両親からちゃんとした愛情を享受できていた。
客観的に見れば、ナイは恵まれていたのかもしれない。
しかし、ナイはそう思っていなかった。
何故なら、彼女は幼いながらに自分が異質である事を理解していたからだ。
彼女は、家族以外の人間達がナイの能力を恐れ好奇の目で見ているのを知っていた。そしてそのために両親が住む場所を転々としなければいけなくなった事も。
友人と呼べる者がいない、そんなナイは一人の子供として幸福であるとは言い難かった。
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