14.5

あーくそ、いてもたってもいられねえ。てか、もう大丈夫だろ。傷も痛まねえし、動ける。主任からは連絡ねえけどじっとしてるなんて俺の性分じゃねえ。

「よおルード。お前今どこだ、と」
『ジュノンに着いたところだ。怪我の具合はどうだ?』
「お前、俺を見くびるなよ。一晩寝ればこんなもんわけねえぞ、と」
『ならいいんだが…』
「そうとなりゃ、今から行くわ」
『主任からはまだ何も連絡ないだろう?』
「動かねえと身体が鈍っちまうんだよ、と。それに、」
『…ナマエか』
「ああ。いるかもしれねえ、だろ?」
『…恐らく』
「なら尚更行くしかねえだろ」
『レノ、ナマエはもしかしたら「お前の憶測なんかどうでもいいんだよ、と。あいつから直接聞く」
『…そうだな』
「まあ会えるかわかんねえけど、ここにいるよりかはマシだ。ってことで、後で合流しようぜ」
『…ああ』

ジュノン、か。あいつとは何度行ったか覚えちゃいねえな。懐かしい。
って、何感傷的になってんだ俺。らしくもねえ。馬鹿馬鹿しい。

正直、あいつからどんな言葉が出てくるのか怖くて仕方ない。けど、何もわからねえままじゃ気持ちが晴れない。
はっきりさせねえと。あいつに会えるかも定かじゃねえけど、あいつが何考えてんのか聞かねえと。


俺があいつの一番の理解者だと思ってたのにな、と。でも、思えばナマエのこと何も知らねえかもしれない。


女は秘密が多い方がいい、か。
馬鹿じゃねえの俺。

130222
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