へらへらへらへら。
志摩の周りは、しえみが好きそうなお花畑が広がっていそうなくらいにへらへら。

「で、何で隣に座ってるの?」
「そりゃあ、俺ら彼氏彼女やし?ええやんええやん」

にへら、と笑った志摩がぴたりとわたしの席の隣を陣取っていた。もうちょっと距離を空けてほしいと思ったけど、今の彼に何を言っても無駄な気がしたので諦めた。やれやれといった様子で後ろの席に座る出雲を見れば、ふんっ!とそっぽを向かれてしまった。ありゃ、やっぱり怒ってる。

今現在志摩が腰掛けているそこは、元々は出雲の席だったのだ。退いてよ!と、仁王立ちの出雲にもこんな感じでふにゃふにゃした笑顔を向けて、ええー?と聞き返す始末。こりゃダメだと思った。

流石に長年の付き合いがある勝呂たちも手に負えないようで、呆れながらも遠巻きから笑って見ていた。確かに、笑える。

「まあいいけど…」
「やろやろ?ああ〜俺、こんなん夢やったんや〜。彼女と一緒に授業受けるの!」

気合い入るわ〜などと言い、何処から取り出したのかもわからないハチマキを額に巻きつけて姿勢を正す志摩を見て、思わず吹き出した。それを前方から見つめていた燐も、ほぼ同時に。


「ププ!何だよ志摩そのハチマキ!だっせー!」
「奥村くん、笑たな。今、俺のこと笑たな?」
「な、なんだよこええな」
「フフフ、今の俺を馬鹿にすると痛い目見るで!」
「はあ?何言ってんだお前」
「聞いて驚くなかれ!俺には昨日できたばかりの彼女がフゴォッ!」
「うるさい黙れ!」

堪忍袋の緒が切れた出雲から、教科書が投げつけられた。盛大に吹き出した志摩が、腹を抱えながら笑う燐に馬鹿にされている。

ん、やっぱり面白い。





(てか、何でお前らそんなくっついてんの?)
(だからー、俺と名前ちゃんは付きブファッ!)
(キモい!死ね!)
(そんなせっしょうな〜!)

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