今更、本当に今更。
志摩が隣にいることを物凄く意識してしまっている。どうしたらいいのかわからない。付き合ってるのに、何、この片思いしてる時みたいなドキドキ感。やだな、なんか、嫌だ。

「名前、今日何しとる?」
「あ、え、えっと、学校の宿題が」
「おお、したら俺とやろ!」
「や、ごめん、出雲と約束してて」
「出雲ちゃん?俺は一緒でもかまへんけど…」
「クラスの子も何人かいて!うん、そう、だから、」
「そか、したらしゃあないな!」

何でこんなこと言ってるのかも、自分でさっぱりだった。全部全部嘘っぱちで、それでも志摩は笑ってくれた。それとも気にしてないのか。


それから何日か出雲と遊びに行くだとか、そういう嘘のやり取りをしてしまっていた。本当は嘘なんてつきたくなかったし一緒にいたかった。でも、わたしの気持ちを知ったら志摩がどう思うか怖かった。もしかしたらそんなつもりじゃなかったと言われるかもしれない。重いと思われて志摩が離れていってしまうかもしれない。だから気付かれないように最低限の距離がほしかった。でも、いつも笑ってなんてことないって顔をする志摩を見る度、苦しくなった。本当に気にしてないのかなって、一緒にいれなくて残念とか思ってないんだろうなって。そうやって、自分で自分の首を締めるようなことばかり考えて勝手に落ち込んでた。

意味もなく避けて、それでも近寄ってくれる志摩が嬉しかった。でも、志摩がどう思って近付いてきてくれるのかわからなかった。だから今目の前で少し不機嫌にしてる志摩を見ても、何を考えてるのかわからなくて困惑していた。

「なあ名前。最近なんか俺のことを避けとるやろ?」
「た、たまたまだよ」
「そうか?なんや、おかしない?昨日出雲ちゃんに聞いたとき、最近は遊んでないって言うとったんやけど」
「え、あ、」
「他に誰かおるん?」
「え、まさかそんな」
「じゃあなんなん?舞い上がってたんは俺だけ?いい感じやなあと思った途端、これや。なんやようわからんわ俺」
「廉造…」
「…ごめん。ちょっと頭冷やしてくるさかい…」

違う。違うよ志摩。
ああもう、どうして。

130205
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