輪廻転生とは。
人が生まれ変わり、死に変わりし続けること。▽仏教語。「輪廻」は車輪がぐるぐると回転し続けるように、人が何度も生死を繰り返すことを指す。「転生」は生まれ変わること。「転生輪廻」ともいう。
――三省堂「新明解四字熟語辞典」より。



俺は信じたことがない。いや、信じようがない。何せ、死んだことがないからだ。もしかしたらあるのかもしれないが、死んだ記憶などない。死んだ後は無だ。何もない。それさえも、ただ、今の俺がそう考えているだけであって、実際のところどうなのかはわからない。

同じ容姿の人間が繰り返し生を受けてこの世に出るのか、それとも潜在意識のみ引き継いでいるのか。
何もわからない。知る術もない。

俺は曖昧なものは嫌いだ。
はっきりとした答えがほしい。

だから偶然だとか運命だとか奇跡だとか、突然神が送り与えたような表現の仕方は好まない。俺の人生で起こる全ての出来事には全て意味があるし、俺自身の行動の結果で起こっている出来事なのだから。

ただ、これは何と表現したらいいのか、わからなかった。

俺は混乱した。
しかし、感じる。

初めて対面したとは思えないほどの安心感。懐かしいとさえ感じる。今まで失ってきたものをやっと見つけたような、そんな感覚。俺はこの日を迎える為に生きてきたと思えるほどの、生に対する喜びを感じた。運命という安易な表現の仕方では収まり切らないこの喜びは、言葉では表現しきれなかった。

出会うべくして出会った。俺たちは結ばれる為に出会った。いや、違う。この世に生を受けたときから、いやその前からか、とにかくいつの俺かは知らないが、確かに彼女と結ばれていたに違いない。この感覚は、間違いなく彼女が俺のものであることを示している。

決して信じることはないと思っていたはずの物事が、こうも呆気なく崩されるとは思いもよらなかった。
彼女は俺の片割れだ。彼女と一つにならなければならない。そうすれば、完璧な俺が完成する。

「苗字名前です、よろしくお願いします」

待ってたよ、名前。

121217
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