寝返りを何度も打つ。 眠ろうと思っても、眠れない。 むしろ、眠ろうと思えば思うほど眠ることができない。 こんな日が時々ある。 隣で気持ちよく眠っている相手を羨ましく思い、その寝息を聞きながら目を瞑る。 うーん、だめだ。 わたしに背を向けて眠る彼を後ろから抱きしめる。 しかし何の反応もない。 ちょっと意地悪したい気持ちがわたしの心に生まれた。 彼のうなじに唇を寄せて、何度もキスをする。屈もった声が聞こえて、身体が捩れる。 彼が寝返りを打って、わたしの方を向いた。暗闇の中でよく見えなかったけど、綺麗な寝顔。 頬を引っ張ってみたり、眉間の皮膚を持ち上げて困ったような顔にしてみたり。 「ふ、ふふっ」 違和感を感じたのか、眉間に皺が寄る。 よく眠ってるのに申し訳ないけど、構ってほしくなった。 啄むように唇を落とし、様子を伺う。 彼の腕がやんわりとわたしの背中に回る。起きたかな? それでも起きない彼がもどかしくなってもう一回、キスをしようと顔を近づけた。 「…なに、してるんだ?」 「わ、」 まだ微睡みの中にいるような彼の瞳が見つめてる。 「えっと、」 彼は今にも落ちてしまいそうな中、わたしを抱き寄せる。 「誘ってる?」 「ち、ちが!」 「ふうん…」 力なく唇を重ね、そのまま彼は頬を寄せてわたしを離さない。 優しく彼の手が身体を弄り、それに反応するようにわたしの身体が熱くなる。 「もしかして名前、ずっと起きてた?」 「うん…ごめんね、起しちゃったね」 「いや、いい…」 彼の手が頬に触れる。 顎を持ち上げられ、再び唇が重なる。 「じゃあ、運動しようか」 「運動…?」 「ああ、そうしたら眠くなるだろ?」 彼の言ってることが一瞬わからなかった。けど、きょとんと彼を見ているとイヤラシく口角が上がったような気がして。 それで気付いてしまった。 「え、い、いいよ…」 「でも、名前が眠れないのは可哀想だから手伝ってやる」 「ク、クラウド…」 クラウドは、わたしの上に跨がって体重を落とすと、首元をなぞるように唇が優しく触れる。 「だ、だめ、クラウド」 「ん」 押し返すように彼の肩に力を入れてもぴくりともしない。 彼は生返事をするだけで、その行為をやめようとしなかった。 けど、クラウドに優しく触れられる度に、抵抗することなんて忘れてた。 抵抗をやめると、彼の動きも止まる。 額を重ね合わせ、まっすぐな瞳がすぐ傍にある。 「…どうする?」 「え、聞くの?」 「名前が嫌ならやめる」 「…言わせないでよ」 首に腕を回して、音を立てて口付ける。 ふ、と彼が笑う。優しい笑顔。 「じゃあ、やめない」 121105 |