「どうじゃ?ホンモノのジンギスカンは」
「おいしいです!雅治さん!前に食べたことあるやつ何レベルでこのジンギスカン美味しいです!」
ジンギスカンってこんなにおいしいんだ。普通においしい!お肉が新鮮だからなのかな。これだったら他の誰かに言いたくなるね。
目の前でドヤ顔でいる雅治みたいにね。
「しかし、ここはどこじゃ?名字くん」
「ジンギスカン屋さん」
「ちがう!住所的に!何県!」
「仁王くん、バカじゃないの。東京都だよ」
「あーっ。そういうの言いたいんじゃないんじゃ」
「男なんだからはっきり言いなさいよ。みみっちいな」
「ホンモノ食べに北海道行きませんか?」
「えー!行きたい!です!仁王様!誕生日だから連れてってくれんの?」
「なんでそこまで言うんじゃ。ご名答じゃが。ロマンチックに行こうとしたのに」
「えへへへへ。ごめんちゃい!でもうれぴぃ」
ぐへへへへへ。そうと決まれば何着て行くか作戦会議だ。あ!ママのエルメスのスカーフを借りよう。今度はちゃんと言うもん。借りれるさ。
「ふーお腹いっぱい!でっかいどー楽しみ!」
店を出たら少し寒い。店入るときはそこまでだったんだけど。
んー春の夜はやっぱり寒いなぁ。北海道はどうなんだろ。
「なぁ、どーせ名前のことやから何着て行こうかとかどの靴履こうか、気候はどんなんかとかしか考えとらんやろ」
そう言って雅治にちろりと睨まれ、鼻を摘まれた。ぐへっ。
さすが彼氏さま、あてくしのことなんかお見通しなのね。
「だってー雅治とどこ行ってもたのしいし」
「そう言って押し付ける気じゃ」
「ぐへっ。や、思いは半々だよ?とりあえず本屋で北海道の旅行の本買って決めよ?お互い一冊ずつ」
「で、どこで読むん?もーこの時間やったらスタバもラストオーダーじゃ。飲み屋で読むんもなぁ」
「もー」
「んー?」
あーこの目!こーのー目!そんで急に繋いでくる手、絡めてくる指!強引にグイッと引かれて雅治の方にあたしを寄せてくる。ずるい男だ。あたしはこれに弱いの!
「ホテル行こ?」
「ほーん?」
「なにその顔」
「んーん?じゃあTSUTAYA行くぜよー」
ご機嫌雅治が空いてる方の手で頬を掴んでぶちゅっとキスしてべろんと唇を舐められた。喜びすぎだろ。