「え、ほんまにこの道?」
「おん。ナビがそー言っとる」
「怖い話でさ、変な道に行って車飛ばしてたらもうそこには道がなくてキャー!みたいなのあったじゃん!」
「あれは怖い話でここは現実じゃ。まかしとけ。ほれめっちゃ向こうに車のライト見えるじゃろ」
「あ、ほんとだ」
どこの山に行けば分からんくなったから2人で悩んで高校の時に立海1チャラ男と呼ばれてた良原くんに連絡すれば夜景とか知ってそうだし何とかなるんじゃない?という結論に。
良原くんの電話番号知ってたっけと2人でお互いの携帯の電話帳で良原と検索かけたらあたしが彼の電話番号知ってて雅治に何で知っとるんじゃと頬を捻られた。
覚えてねーよ。こう言いたかったけどそんなの言ったらあたしの嫌いな二の腕捻りの刑になりそうだから多分1年の研修の班同じだったとかだと思うよと返しといた。(ほんとは中1の頃にイケメンだったから連絡を交換した)
電話したらすぐに出て、あたしからの電話に驚いてたけど直ぐにお勧めのところあるからラインで送るねと言われて電話を切った。そしたらラインでそこの写メと位置情報が送られてきた。なんて優秀な方なのだ。
「え!見た?さっきの標識!たぬきだよ!たぬき!」
「山やし出るじゃろ。そんくらい」
「でもたぬきだよ!初めて見た!」
はぁー反応薄いな、この野郎。たぬきいいじゃん。かわいいじゃん。
「なぁ、ここって終着点あるんか?このままやと下りそうじゃ」
「え?ないの?なんか公園的なあれはないの?」
「ちょ、もう一回良原に電話じゃ」
「分かった!」
もう一度良原くんに電話。次も直ぐに出てくれてあたしらのあふぉな質問に難なく答えてくれた。
「もう少ししたら駐車場があるらしいからそこに車停めて夜景楽しんでだって」
「ほぉ。駐車場ーあ、ここか。」
良原くんが言ってた駐車場に着いた。真っ暗な山の中だけど何台が車が止まっているから少し安心。
「誰もおらんと思っとったから他に人間がいて安心じゃ」
「ほーだね」
なんでこの男は思ったことを口にするんだ。しかも男らしくない発言を。
いつもよりめっちゃ強めに手を握ってくるし。
まぁ今更だけどね。
「わー夜景きれい!」
「すごいのぉー光がふぁーて広がっとる」
これが夜景というものか。家から見える夜景とはまた違った夜景だ。女は光るものが好きって言うけどこりゃ分かる。すきだわ。
しかも少し寒いからくっついちゃったりしてこれはデートスポットにちょうど良い。ナチュラルにイチャつける。今まさに雅治が名前寒いしって言って抱きついてきたし。ん?
「てか桜は?」
「あー忘れとった。覚えとった?」
「や、今思い出しました。言い出しっぺが忘れんな」
「山登ってたときにラブホが何件かあったやろ?それしか頭になくて」
「ほぉ。まーくんはやらしいことで頭いっぱいでしたの?」
「そおそお。頭の中がピンクでいっぱいじゃ。桜満開」
「上手いこと言ってる感満載でむかつく」
「そんなんゆーて名前ちゃんもヤル気満々なくせに」
「うっせ、ばーか!」
あたしたちは花より団子みたいだ。