「え!明後日でしょ?彼氏の誕生日!」
「そうなの。明日なの。でも何も約束してないの」
「プレゼントは?」
「買ったよ。とっくの昔に。オーダーメイドのネクタイと、昨日買ったタイピン。成人式で使って欲しくて」
「言い方が母親っぽいよ」
「え?まじで?去年リュックあげた時の理由も母親っぽいて友達に言われた。あと侑士くんも」
「何?」
「大学って制カバンないからこれに教科書とか入れてほしいなって」
「あーね。母親っぽい。ネクタイなんだからあなたに首ったけって理由でいいじゃん」
「えー恥ずかしいよ、もっぴー。あたしそんなキャラじゃないし」
「待受だって彼氏でしょ?しかもなんかいちゃついた感じのツーショット」
「んふふ。だってかっこいいもん」
「ほら、あなたに首ったけいけるいける」
ひさしぶりに大学の近くのラーメン屋さんでもっぴーと遅めのお昼ごはん。いつもはお互いママの作ったお弁当なんだけどお互い今日はお弁当がなかったから前々から気になってたラーメン屋さんへ。
明後日雅治の誕生日なんだけどプレゼント以外何も用意してないのだ。なぜかって?それはあたしもサプライズでよーいちくんに雅治の誕生日会に誘われてるからなのだ。
「てか誕生日会にサプライズ登場なんでしょ?」
「うむ」
「一応さ、彼氏にあたしは誕生日会に行かないアピールしとかないとバレるよ」
「ん?」
「だって普通はさ?彼氏彼女いたら何かしてあげるじゃん。何もなかったらその誕生日会に来るのかなって勘がいい人だと気付くよ」
「あーーー!本当だ!あいつ勘は鋭いからな!しかも雅治はあたしに誕生日会あるとか言ってないし!うわ!どうしよう。とりあえずなんか個人的に企画してる風にしとこう。後で会うからその時に言う!」
「そのパーティー終わったらどうするの?なんかするの?」
「あーーー!本当だ!2人のそんな感じなのも忘れてた!パーティーが7時くらいまでなの、たしか!よーいちくんあたしらのこと考えて早めに切り上げてくれたんだ!」
明後日だし明後日だし明後日土曜だしおしゃれな店とか満席だよなー12月だから世間の忙しいカップルなら早めのクリスマスディナーとかしそうだし。
もっぴーと焦ってたら跡部からLINE電話。跡部から電話なんて滅多にってか初めてだから少し緊張。
「ももしもし?ハッハロー?」
(あーん?何だよ。その気持ち悪りぃ挨拶は)
「だだって跡部と電話なんて初めてだから」
(明後日、仁王の誕生日だろ?俺からのプレゼントで12月4日ホテル予約したからそこに泊まれ)
「ええ!いいの?」
(あぁ。名字のことだから誕生日会に参加することばかり考えてて2人での過ごし方なんて忘れてるだろうと思ってな)
「ああ!もう跡部神すぎる!あたし今その事でちょー悩んでたの!」
(それならよかったぜ。ルームサービスとか気にせず使ってくれ。ディナーは部屋で作ってくれるから当日楽しめよ)
「あああもう跡部様って呼ぶわ」
(だからその気持ち悪りぃのやめろ。じゃあな、また日本に帰ってきた時迎えを頼む)
「赤い絨毯で迎えるよ」
(ふっ。じゃあな)
跡部ってマジで神すぎる。こんなあたしのためにホテルを予約してくれるなんて。すぐにLINEで予約してくれたホテルの地図を送ってくれた。うわ、このホテル最近できた高級なホテルじゃん。
「え?跡部が予約してくれたの?」
「うん。そーみたい。神だよ」
「跡部ってそういうのサラリとして同じ19とは思えない」
「おぼっちゃまは違うねぇ」
「ねぇ。あっ誕生日会ってどんなの??」
「よくわかんないけどおしゃれなカフェ貸し切るんだって。あとドレスコードもあるの」
「モデルさんておしゃれな事するねぇ」
「ねぇ。で、ドレスコードがシルバーなの」
高3のときイメチェンしたけどそれまでずーっとシルバーで今も髪色はシルバーだからドレスコードはシルバーらしい。
シルバーの服なんてないよと思ってたらこないだシルバーの可愛いドレスを見つけたから即買い。靴はお姉が前に買ったシルバーのシースルーのパンプスを借りパクの予定。
「私行かないけどちょー楽しみだね。また写真撮ったら見せてよ」
「もちろん!見せる見せる!」
食べ終わって大学に戻ってるとよーいちくんから電話。今日はよくかかる日だ。
「もしー?」
(あ。名前ちゃん、今いい?)
「うん!どうしたの?」
(ドレスコード変更いける?黒なんだけど)
「黒ならいけるよ!」
(よかった!じゃあ名前ちゃんは黒で!まーくんと名前ちゃんだけ黒ね。サプライズだから)
「ありがとう。あたしなんも手伝えなくてごめんね?」
(沢山の人のムービー送ってくれたし、それだけで充分!ジョージさんとかまーくんの家族まで)
「余裕だよ!余裕!じゃあ明後日楽しみにしてます」
(おっけー任せて!最高の誕生日にしてあげよーぜ!じゃ!)
黒か。黒ならたくさんあるけどなぁ、なんかなーって事で放課後雅治と買い物デート。見ちゃおう。
「誕生日なんだけどさ、夜空けといてね?とっておきのプレゼントあるから」
「おん。あ、でも当日多分7時には終わると思うがよーいちくんらが誕生日パーティー開いてくれるらしくてそれからでもええか?」
「余裕余裕!」
「名前誕生日のことなーんも言ってくれんから先に入れてもーたぜよ」
ちょっと不貞腐れた雅治に鼻をきゅっと掴まれた。不貞腐れまーくんにきゅん。
「早くプレゼント渡したいもん」
「何くれんの?」
「ひみつー」
「えー教えんしゃい」
「ヒントはもっぴー曰くチョイス理由が母親っぽい」
「去年と一緒じゃ、その理由」
「ね?なんでだろ。あ!あたし今度園さんらとパーティーするからドレス買いたいの!」
「ほーパーティーか。女子大は違うのぉ。どんなドレスすんのか決めとるん?」
「いや、ドレスコード?が黒だから黒のドレス」
「じゃあ名前のドレス探しに行くか」
お互い手が冷たいから腕を組んでイルミネーションがキラキラ光る街をウィンドーショッピング。
色んな店を見たけどこれ!って感じのドレスが見つからない。まぁ黒のよそ行きワンピースならいくつかあるからなかったらそこからチョイスすればいいんだけもね。
「あ、あっちまだ見とらん」
雅治に引っ張られ連れて来られたところは安定の雅治のバイト先!の隣の隣の角を曲がったセレクトショップ。ここって確か、
「最近できた姉妹店のセレクトショップじゃ。昨日こっちの手伝いしとって名前に似合いそーなドレスがあったの今思い出した」
そこらへんで待っといてと言われたのでとりあえず服をちらちら見ながら待つことに。
こっちの店は見てる感じだとレディースしかなさそう。かわいい、すごくかわいい。値段も!かわいい。これは買ってもらうならパパとママだな。置いてるブランドがいいとこのだから仕方ない。
「おまたせ。これ、どっ?」
「わぁ、かわいい」
雅治が持って来たドレスは、総レースの黒のフレアワンピース。バックがハートの形に開いていて着たら絶対可愛い。
もちのろん試着させてもらったらすんごい可愛い。ああもうこれは決まりだ決まり。値段をちらりと見たらかわゆいお値段。もーすぐクリスマスだし自分へのプレゼントにしちゃおう。
「雅治」
「ん?」
「これ買う!」
「おーよかった。これ名前ちゃんへのクリスマスプレゼントの予定やったから」
「え!まじ?」
「おん、まじまじ。ほんまはクリスマスにあげてそれ着てもらってクリスマスディナーでもしよーと思っとったけど大学の子らとパーティーする言ったからそれならと」
「あらやだ神様」
「プリッ。だから早く誕プレを寄越しんしゃい」
なんでこいつはフライングゲットしたがるんだ。まぁパーティーにしてきてもらうのもアリかも。お互いがお互いのプレゼントをね。うむうむ。
この後雅治と外で食べてバイバイする予定だったけど、プレゼントをあげるのでうちでご飯を食べてお泊りに変更。