07


「パパ!早くして!遅刻する!」

「授業は余裕で遅れるくせに、こういうイベントは遅刻しない」

「パパの服装に女子大生興味ないから!早く!」

「このTシャツにこのパンツ合わないから待って」

「こっちのがいいって!」

「あ、ほんとだ。靴どーしよ」

「こないだ買ったやつでいいじゃん!」

「あ、いいかも」


今日もパパの送迎で大学へ!と行きたいとこだけどパパの本日のファッションがなかなか決まらなくてパパ待ち。なかなか決まらないからお姉が激おこプンプン丸的なやつ。

ママでもいいんだけどママはこれプラス化粧にヘアセットだから遅いんだよね。パパは帽子をかぶってグラサンしたら完璧だから。


「はーっ!やっと出発。お!名前のとこってマッサージだっけ?」

「うん。来たら5分サービスしてあげる」

「えー家でやって」

「え、いやだ」

「じゃあ今!ほら!練習しないと!」


お姉が手を出してきた。しゃーなしやってあげた。

お姉の手はとてもスベスベで触り心地抜群。しかも指が細長いし綺麗なネイルもしてある。あたしもネイルしよかな。


「お姉ってネイルどこでしてもらってるの?」

「まーくんだよ」

「え!これ雅治なの?」

「うん。あいつ段々腕上げてきたよ。後はスピードかな?あともー少し早くしてほしいな」


素人にスピード求めんなよ。そう思いつつも口には出さない。口に出したら殴られる。お姉怖いもん。

そうか、忘れてた。雅治さんはお姉らにしごかれてネイルできるようになってたんだ。ママもネイルはまーくん!って言ってたし。あたしも今度してもーらお!

大学に着いた途端お姉はダッシュでどっかへ行ってしまった。パパと2人でなんやあれって言ってしまうレベルのダッシュだった。

あたしは少々荷物が多かったからパパに模擬店の前まで一緒に運んでもらった。

サークルのみんなはあたしのパパを見て若くてかっこいいと言ってくれた。あたしは鼻高々。パパは女子大生に褒められたから嬉しくなったみたいであたしに学祭でのお小遣いをくれた。学祭で諭吉使いきれるかな。てかそんなに使わないけど。


「名前ーみんなで髪の毛のお団子しよー」

「したいしたい!2つお団子してミッキーみたいにしよ!」

「あ!いいね!普段できない髪型しよーブリブリに」

「顔に貼るシール買ってきたから貼ろー」


サークルの同期でミッキーヘアにした。顔にはハートとか星とか可愛いシール貼ってアイラインはいつものブラックとかブラウンじゃなくてカラーにしてみたり。

できたら速攻写メをたくさん撮ってインスタにアップ。ハッシュタグは勿論!学祭とかみんな買いに来てねとか宣伝宣伝。


「みんな今日誰か来る?」

「今日は誰も来ないけど明日は来る」

「私は高校の時の友達とバイトの先輩。男の先輩なんだけど女子大生目当てなの」

「ああ、あたしのとこも女子大生目当てで何人か来るよ。昨日ラインで来たよ」


ダブル丸井からね。昨日勝手にグループライン(ダブル丸井とゆかいな名前)に招待されててなんやなんやと参加したら、明日学祭行くからよろ!また着いたら連絡する!ってラインきたからね。

あとギャル軍団に侑士くんに雅治幸村か。あ、ママとパパ。


「名字よろ!って言いたいとこだが名字以外の彼女いない子で!」

「俺は名字でいいぜ」

「始まり早々来てきっしょ。丸井ブン太残念でした。男の方は知り合いの女の子のみのマッサージなので当店No.1の名前ちゃんがさせていただきます」

「は!んだよ!させろよぃ!」

「あたしだって女の子なんだからいいじゃん」

「よくねぇよぃ。名字のとなりの子でいいじゃん。慎太郎は名字にやってもらって俺はこの子がいい」


あたしの隣にいた違う学部の同期のかおりん。かおりんは彼氏いない。まぁ、かおりんがよければ丸井のマッサージしてもらってもいいけど。


「かおりんどう?」

「うん、いいよーやってあげる」

「っしゃきた!」

「よかったね、丸井。じゃあ2人とも座って。慎太郎、手出して」

「お!サンキュー」


マッサージ中は丸井に少しムカついたからこないだ遭遇したルミちゃん(元セフレ)の話を聞いた。かおりんも慎太郎も何それって食いついて丸井は焦ってた。ふん!ざまあみろ!


「へーじゃあルミちゃんは彼氏ができて疎遠になったんだ」

「一夏の恋ってやつかな?」

「そんな美しい思い出でもねぇだろ」

「丸井の一夏の恋か。脱童貞でも童貞感ありまくりだね」

「名前ちゃんウケるそれ。ブン太くんイケメンだけど童貞感あるもんね」

「は!かおりん待って!俺ら知り合って5分も経ってねえのにかなりイジるじゃん」


丸井はマッサージが終わるまでかおりんにくっそいじられていた。あたしは慎太郎と最近のお互いの話をしたり、高校の時の文化祭の話をしたりとりあえず平和な話をしていた。

帰り際、丸井がかおりんとライン交換してた姿はあたたかく見守りつつ、テニス部(丸井は通知オフにしてるから気付いてない)とギャル軍団のグループラインにソッコータレコミをした。

prev nextbkm