「4人揃うの卒業式ぶりじゃん!」
「こないだも集まるってなってたけど流れたし。まじで久しぶり」
「個々では会ってるのにね」
「ほんとだ。個々では3人会ってるのに4人はなかったね」
「今は4人じゃなくて5人だけどな。つーかおめえらうるせぇ。少しは静かにできねぇのかよ」
「けーごくん?話聞いてた?久しぶりの4人だから騒いでんの。車の中だからいいじゃん」
そーよ!そーよ!みんな一斉に跡部に食いかかる。
跡部が向こうに帰る日、みっちゃんとさっこにちょるの4人で空港までお見送り。もちろん、あたしの運転で!
跡部がいるのに御構い無しでみんなどんどん色んな話をしてとてもたのしい。たまに跡部がツッコミ入れるんだけどそのセンスもさすが跡部さまって感じ。
「てかてかー四人揃ったんだしー?そろそろ聞かせてくれてもいいんじゃなあーい?」
「あ!本当だーみっちゃん超たのしみにしてたんだよさっこ」
「こういうのついつい忘れるからね。さぁさっこ!彼氏の幸村について教えるんだ!」
「え?何言うのさ」
「分かってるくせにぃ!ベッドの中での幸村だよ!ベッドの中とは限らないけどね」
うわ、俺聞きたくねぇ。助手席に座ってる跡部が小さく呟いてたけどそんなの御構い無しでさっこを攻めた。
「付き合ってない頃の幸村よりは凄く優しくなったかな。多分彼女には優しいんだと思う。優しいけど手とかあんまり繋いでこないし、好きとかそんなのも言ってこないかなー」
「スキンシップ少なめ幸村か。好きとかあんまり言わないのはさっこ的にはどうなの?」
「雰囲気とかで私のこと好きだなコイツって分かるから特には」
「雰囲気ってなに!」
「バイト終わりとかどっか遊びに行ってた帰りとか時間さえ合えば駅まで迎えにきてくれるし、一緒にいてて雰囲気が全然違うの!とにかく!」
「積極的に会える時間増やしてくれるのいいよねーあたしと雅治も卒業しても会う頻度高すぎる。お互いが自然と相手に会うために時間をつくってるからだと思うけど」
「あんたらほんとラブラブよねぇ。
って名前の話はいいの!さっこ!」
「そうそう。名前と仁王の話なんてどっちが浮気かなんかしないと同じ話だから」
え、ひどい。みんなあたしらのラブラブライフ聞きたくないの?と思いつつさっこの話だ。
「えっちは?えっちどうよ」
「えっちはね、相性良過ぎてやばい」
「はぁ…」
跡部は聞きたくねぇと呟きながらイヤホンをつけて音楽を聴き始めた。侑士くんならガンガン話に入るのになぁ。
「てか!あっきーから聞いたんだけど仁王にフェラガモのカチューシャとブレスレット買わしたんだって?」
「ふっ、まぁね。ちょーお気にだよ!」
今もつけてる!右手をみんなが見えるようにフリフリして見せてあげた。
「で、どーやって買わせたの?絶対ただのプレゼントじゃないでしょ」
「えーと、雅治が酔っ払って帰ってきて盛ったからだよ」
「それだけぇー?」
「絶対うそ!話せ!」
「これは誰にも言ったらダメだよ?」
「で!で?」
「雅治に中出しされたって嘘ついてお詫びにって買ってもらったの」
「は?名前クズ過ぎる!」
「それは仁王かわいそうだよ」
「ちょっと懲らしめてやろうと思ってね。まぁやり過ぎたと思ったから同じくらいの金額のやつプレゼントしたよ。めっちゃ怪しまれたけど」
「そりゃ怪しむよー誤魔化せたの?」
「ふふん、まぁね。これ雅治にぴったりだと思って、しかもね!ラス1って言われたから買ったの!ってね」
「仁王チョロすぎ」
「ペテン師と恐れられる男が彼女には騙されるってか」
さっこでいじってたのにいつのまにかあたしと雅治がいじられてた。ま、いつもの流れだけどね。
空港に着き、跡部とみっちゃんを先に降ろして駐車場へ。最後は2人きりにさせてあげないとね。
「みっちゃんはしばらくダーリンと会えないのかー」
「折角付き合い始めたのに遠距離だもんね」
「帰りはなぐさめてあげよう。跡部に駐車場代とお茶代として1万円くれたからスタバ行こ」
「その1万円で2人きりになれるし、わたしらの動きを止めるって考えたらおもしろいよね」
「ね。跡部きっとあたしらが邪魔してくると思ったんだよ」
「私達そこまで意地悪じゃないのにねー」
あはははー1万円をひらひらさせて3人でスタバの新作!ではなく違う飲み物を頼んだ。搭乗時間までまだまだあるから一番でかいサイズをね。おつりも時間もまだあるから雑誌も買ってね。