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「あああああああ!疲れた!疲れた疲れた!」

「疲れてないでしょ。ほら、お皿片付けて」

「パパがやってよ。疲れたから」

「えー少し寝てからチビと買い物行こうと思ったけど…」

「はいはいはい!お皿片付けます!洗います!」


あたしは慌ててみんなが食べたケーキの皿と紅茶のカップを片付けた。

丸井とちょるちゃんも遊びに来て、パパも帰ってきて、みんなでケーキとか2人が買ってきたクッキーを食べてとっても楽しかった。

ま、最初はすこーし気まずい感じしたけどね。ちょると侑士くんがぴーちくぱーちく話して、みっちゃんと跡部のカップルネタで跡部をいじり倒して盛り上がってお腹痛くなるくらい笑ったな。

あと、侑士くんの従兄弟の謙也くんが遅漏とかでも笑ったかな。


「さ、行こ」

「え!待って!あたしまだ着替えてない!」


慌てて下のスウェットを脱いでスキニーを穿いて、カバンを持って、ダッシュで玄関へ。


「着替えんのはやっ」

「パパが急がすんだもん」


ハイカットのスニーカーをはいて、少しロールアップ。ロールアップしたところに日焼け止めをぬりぬり。気を抜いたら焼けるからね。

パパも白のTシャツにスキニーにスニーカー。あらあら双子コーデっすわ。スニーカーも同じブランドだし。(まーくんからのプレゼント)Tシャツの値段は雲泥の差だろうけど。


「あ、さすが芸能人っすね。グラサンがお似合いですわ」

「うるさい、芸能人の娘。芸能人じゃないくせにグラサンっすか」

「うるさい」


車に乗っても眩しいんだ。そして日焼けも気にしないといけない。


「ちょるちゃんがジョージ相変わらずイケメンだね!だって。LINE来てた」

「ちょるちゃんに相変わらず小さいねって送っといて」


ちょるちゃんだけパパのことをジョージと呼ぶ。本人の前でも。

ちょるちゃんは中1の時、あたしのパパを高橋の方のジョージと勘違いしてて、あたしのことをジョージの隠し子でかわいそうな子と思ってたみたい。

参観のときに来たパパを見て高橋じゃないの!と叫んで先生に怒られたエピソードは今でも名字家で語られてる。


「あ、そー言えばパパ」

「何?」

「体型や見た目を維持しているロッカーランキング1位だよ」

「へーそれはありがたい」

「相変わらずガリガリ。ハゲてない。少しシワもあるがそれでも変わらない俺のカリスマ。だってさ!」

「褒められてるはずなんだけど褒めた気がしないんだけど」

「ああ!後ね、いつまでもおしゃれ」

「そうそう。そういうコメントを求めてた」


娘としても父がおっさんクサくないということは大変喜ばしいことだ。パパはゴリマッチョでもなく細マッチョでもなくガリガリ。何食べてもガリガリ。このガリガリの遺伝はあたしやお姉にも受け継がれている。

パパは服装や髪型も流行を取り入れ、顔を隠せば二十代と間違えられてもおかしくない。顔を隠せばってのは肌がね、年を感じさせるからね。さすがに肌感はおっさん。

これから服を買ってもらうんだからもっとほめないと。


「そうだ、跡部くんをまた空港まで送ってくの?」

「んー多分、その予定ではある。みっちゃんとさっことちょるで行くかも。四人のLINEでそんな話になってる」

「ふーん。そうなったら跡部くん大変だね」

「疲れさせといて飛行機ではぐっすり寝ていただかないとね。イギリス遠いし」


はい、着きました。そう言ってパパがドアを開けてくれてあたしのカバンを持ってくれて、あたしお姫様じゃん。


「久しぶりにまーくんとこのお店見たいからさきにそっちね」

「ほーい。雅治今日いるよ、多分」


店に入ると雅治と男性のお客さん1人。2人で仲良くおしゃべりしてる。あたしら親子に気づいた雅治は「よっ」と接客中なのにラフに声を掛けてきた。

雅治があたしらによっとか言ったからそのお客さんも振り向いてあたしらのことを見てきた。あれ?


「よ、よーいちくん?」

「あ!まーくんの彼女!…え?隣の人って」

「あ、俺のこと知ってんの?」


そう、あたしのパパ、ジョージの大ファンのよーいちくんだった。

よーいちくんはあのカリスマがいるから驚いている。ちょー叫んだ。雅治は指で耳栓してる。その反応はあたりまえなんだけどね。


「こないだ会ったとき言わなくてごめんね。場所も場所だったし。次会った時にでもって思ってたの。紹介するね、あたしのパパでカリスマのじょーじだよ」

「ども。名前の父です。俺のファンなの?ありがとう」

「えええ!握手いいんですか!ありがとうございます。俺、まーくんの友達のよーいちです。神と握手できて感激です」


ライブと出待ち以外でこんなに崇められてるパパを見たことないからすごい新鮮だ。写真撮っとこ。


「よーいちくんにね、会ってすぐにパパに似てるって言われたの」

「そりゃチビは俺似だから」

「でもパパのこと話してなかったから」

「あーそっか」


よーいちくんとパパのツーショットを撮ってあげてよーいちくんは涙目になっていた。あたしもリリーちゃんと写真撮ったときは嬉しすぎて頭がくらくらしたもん。分かるよ!自分のカリスマと写真を撮ることは。写真撮って少し話して、よーいちくんは仕事があるので帰ってしまった。

パパは1人で黙々と服を見てる。あたしは雅治とおしゃべり。


「なんか久しぶりじゃな」

「ね、いつぶりだろ」

「んー1週間ぶり?」

「あたしら大学変わっても引越ししても会う頻度って変わらないね」


大学になったら忙しくなって全然会えなくなるんだろなーて思ってたけど、そこまで忙しくはないので毎日ではないけど会ってる。てかパパとお姉よりは会ってる。引越ししても会う頻度って変わらないかも。だから1週間ぶりに会うとかいつぶりって感じ。


「そーじゃな。会えて月1とかそんなんも全くないしのぉ。姉ちゃんとは2週間くらいまともに会話しとらん」

「あたしも頻度で言ったらお姉より雅治のが会ってるよ」


自分らの姉やばいね問題で大盛り上がりしてたらパパに服いらないの?と聞かれて慌てて欲しい服を探した。

久しぶりの雅治だからついつい話し込んでしまった。こんなの会ったらいつでも話せる。

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