03



「夏休みに引越しのぅ。」

「そうそう。だから雅治も手伝いに来てね。」

「バイト入れんとく。日にち分かるか?」

「分からん。また教える。」

「おん。」

「侑士くんも手伝いに来るんだって。」

「俺らええように使われとる。もし跡部も日本におったら呼ばれたぜよ。」

「幸村くんも呼んでほしいなーとは言ってた。」

「ママさんお気に入りの丸井は?」

「ママのアイドルだからさせたくないって。」

「ふーん。」


立海大学の建築学部があるキャンパスの食堂でランチ。こっちのキャンパスには学部が建築しかないのですごく小さいしそこまで学食のメニューが充実していなかった。でも建築学部だし金がある立海なので食堂はすごくおしゃれ。立海の卒業生の有名な建築家がデザインしたらしい。

今日は1限は普通に授業を受けて、2限が休講(初めて!)だったのでもっぴーとサークル探ししようと言ってたんだけど、もっぴーは気になる人からランチを誘われたんでそっちに行ってもらった。明日話を聞くんだ。

そして、あたしはひまになったんで雅治がいる立海へ。建築だけキャンパスが違うから知ってる人は仁王くらいかも?あ、でもなんか見たことあるなーって人は何人かいた。


「大学でお友達はできましたか?」

「おん、竜也知っとる?バスケ部やったやつ。」

「んーあっ!分かった!中1のとき同じクラスだった。」

「あいつと、部活なんも入っとらんかったよっしー」

「よっしー…何人かよっしーって呼ばれてるよね。どのよっしー?」

「イケメンの方。」

「え!あのイケメンと友達なったの!」


雅治が仲良くなったのは立海1のモテ男のよっしー。身長もスタイルも顔も性格もオールオッケーなよっしー。同じクラスになったことなかったし関わりもなかったから話したことないんだけどね。でも本当に男前。雅治には悪いけど雅治より男前。立海のプリンス幸村とはタイプが違うから比べれない。


「3人とも学籍番号が近かったから学籍番号順に座ったときに改めて仲良くなった。」

「へえー他には?立海からじゃない友達はできたの?」

「1人。」

「まぁまだ始まって二週間だし?そんなもんか。」

「そーいう名前ちゃんは?」

「んーと…」


まずはもっぴー。そして学籍番号が近かったエリンギが大好きなエリンギ。んでもっぴーと学籍番号が近くて大阪から来たあんこ。あんこはあんなって名前だからあんこ。


「お前の周りってか名前ってあだ名すぐつけるのぅ。」

「うん。なんかねー名前で呼ぶの照れ臭いというかなんというか。」

「そーなると慎太郎はどうなるんじゃ。」

「あいつは丸井って名字だからね。」

「そーいうお前さんはなんて呼ばれとるん?」

「パパにチビじゃないのにチビって呼ばれるって愚痴ってたらちっちになった。」

「は?」

「かわいいでしょちっち。」


雅治は何が可愛いのか分からんって顔して味噌汁を飲み干した。


「3限って授業あるの?」

「おん、4まである。」

「えーじゃあ帰ろっかなー。」

「えー3は一緒に受けれるやつやし4は気合いで待ってて欲しいぜよ。」

「んーしょうがないなぁ。」

「ピヨッ。」


食堂を出て3限の授業がある大教室に連れて行ってもらった。女子大だから久々こんなに大量の男見た。建築だし男子の方が多いね。


「あっ雅治くぅん!」


声の方がする方を見るとあたしが知らない女たち。あたしが知らないってことは多分立海ではない。マンモス校だから全生徒見たことないけど。

でも、雅治って呼ぶ女の数は把握してるはずだからね。別に雅治でもまーくんでも呼んでくれたっていい。

でもね!でも!雅治くぅん?!くぅんってなんやねん!見た感じ、髪色、服、メイク、あれは大学デビューではっちゃけた女だ。あたし、今ダメな女だ。落ち着け。見た目と一言だけであの子を否定しちゃダメ。落ち着け。


「あっれぇ?その子誰ぇ?」

「んー彼女。」

「…ふぅーん彼女かぁー。」


そう言って大学デビュ子はあたしの服装を見た。じーっとね。しまった。今日は1限からだから気を抜き過ぎた格好をしてしまったんだ。トレンチコートにシャツにパンツ。靴だって走れるようにスニーカー。アクセつけてないし、髪の毛だって巻く時間なかったから1つくくり。化粧だって授業中にしようと思ってマツエク様様で眉とチークと唇しかしてない。あああああ。リップの色似合ってないけどデビュ子の方が気合い入れてるわ。敗北。

ってか雅治が彼女って言った途端、顔がチッて感じだった。これはまーくん狙いだったんだ。てか雅治は彼女がいるって言ってなかったのかな。後で詰めよう。


「そう。今日は大学の授業が休講やったから相手しに来てくれたんじゃ。」

「へぇーそぉなんだぁー!付き合ってどれくらぁい?」

「んーと中2からやからーんー何年?」


スッと言えない雅治。あたしに聞いてきた。


「覚えといてよ。…中2からだからーいま18でしょ?4年?」

「だそうじゃ。」


あたしもスッと言えなかった。あたしたち記念日のお祝いとかした覚えがないからなーてへぺろ。って古いか。

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