「眠い?」
「んー眠いね」
「ほれ、名前。ちゃんと食べんしゃい。口あーん」
「あーん。んーあ、これ雅治のトマトじゃん!だめじゃん」
「プリッ。バレてしまったか」
「口移しする?」
「イヤじゃ」
「チューしたくないの?」
「トマト含んでたら名前でもしとーない」
大学の仲良し四人組で海へ。三人からあたしの胸が小さいからもっと寄せろと皮しかない背中の肉を無理やり胸へ胸へと寄せられた。しかし谷間はできない。
辛かったのはそこまででその後はちょー楽しかった。行きは駄々こねてパパに海まで送ってもらったんだけど帰りは自分らで電車で帰宅。そして撮影帰りの雅治と肉バル。海ではしゃぎすぎて申し訳ないけどすごーく眠い。
「はー日焼け止め頻繁に塗ったけどどうかな?日焼けしてる?」
どう?どう?ってTシャツを腕まくりして雅治に見せた。個人的にはちょーと赤くなったかなぁくらいなんだけど。
「結構赤いのぉ。触ってもええか?」
「つんならいいよ。つんって突くなら!」
つん。ではなくスーッと赤くなった腕を撫でられた。痛い痛い。直ぐに雅治の掌をつねった。痛そうだけど知らない。
そっからなんか知らないけどお互い無言で食べてたら雅治のケータイに着信が入った。雅治は今から仕事の人たちと交流会をするらしい。明日お互い用事があるからお泊まりはなしだったからそのままバイバイした。
ま、また明日にでもLINEとか来るだろーからいいや、このままで。大体あいつがスーッて痛いとこ触るからこんなことになったんだ。ぷん。
「おはよー」
朝起きて朝ごはん。ここ最近名字家のテレビは高校野球か録画してる熱闘甲子園しか流れてない。パパとママは野球経験特にないけど高校野球は好きみたいで春夏楽しみにしている。そして時間があれば見に行ってるみたいだし。あたしも小さい頃よく見に行ったし。
「名前、チーズサンド」
「んーありがとー」
ママからサンドウィッチを受け取りそれを食べつつLINEチェック。雅治からのLINE無し。いつもなら遊びに行ったらその感想か写メが送られてくるはずなのに。ちっ。
テレビを見たら応援している学校が負けてるし朝から良いことない。
「早く食べ終わりなさい。これ食べ終わったらアイドルちゃんと打ち合わせしてそれから新幹線乗っておばあちゃん家行くんだから」
「うんうん、分かってるよ」
ホイホイ食べて速攻で化粧して服着てキャリーケースに服つめてコテに化粧品とかつめて準備オッケー
昨日おばあちゃん家に行く準備する予定だったんだけど雅治のことでムカついて寝ちゃったんだよね。
打ち合わせはマネージャーさんがいなかったけど順調に時間通り進み無事に時間通りに駅に到着。いつもはアイドルの弾丸トークで時間が延長されるんだけど今日はそれがなくてすんなり終わったのだ。
駅に着くとママとパパがあたしのことを待っていた。遅いとか言われたけど集合時間前に来たんだからええやん?お姉は仕事だから行かないので3人でおばあちゃん家。
「ちっ」
ケータイ見ても雅治からの連絡はない。とりあえずみっちゃんにLINE。あ、みっちゃんはイギリスだ。さっこださっこ。そしたらさっこではなくちょるからLINEが。
(昨日におー見たんだけど!)
どこで?と返そーとしたらちょるちゃんから着信。座席で電話はあれなのでトイレの前で掛け直した。
「もしもし?ちょるちゃんどしたの?」
「昨日さ!名前!におーが!におーがだよ?」
「うんうん」
「酔っ払ったおばさんにチューされそうになってたの」
「は?え?なにそ…」
「名前!落ち着いて!チューされてないの。でね、その時ね」
その時ちょるちゃんは慎太郎とさっことご飯に行った帰りで、なんか人集りができていて見に行ったら雅治がおばさんにキスされそうになっていた。
おもしろいけど知り合いだから助けに行こうとなって慎太郎が雅治を助けに行こうとしたら雅治がおばさんを背負い投げ。そしていやじゃー!名前ちゃん!って叫んでソッコー逃げてしまったらしい。
その時に雅治はケータイを落として行ったらしくこのケータイをどうすればいいかとちょるちゃんはあたしに連絡してきたのだ。
雅治の家はあたしの前の家と同じだけど部屋番号が分からないからどうしようもないから明日あたしに電話しようとなったらしい。
一旦電話を切り、雅治ったらあたしの名前叫んで逃げたって恥ずかしいけど嬉しい。かるーく余韻に浸り、雅治のお母様にこの事を話してちょるちゃんの連絡先を教えた。これでひと段落。
安心して席に戻って寝ようとしたらもう京都。え、すぐに大阪着くじゃん。