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「丸井ーそう言えばさ、こないだのあの女の子とどーなったの?」

「え?なんなんこないだの女の子って」

「こないださーさっことランチしてたら偶々隣の席に…」


はいはいはい。俺、丸井ブン太は今!世界で!1番!気まずい!状況!

今日はバイトもなく、1人で買い物してたら急に後ろからクラクション鳴らされて振り返ったら 車に乗った名字と忍足。何で2人が一緒?って思ったけどそーいや名字の姉ちゃんと忍足付き合ってるからその関係かと自己解決。

暇なら一緒にドライブしようと無理やり乗せられ謎の三人でドライブ。

忍足と正直あまり喋ったことないしめちゃくちゃ緊張したけど忍足の話が面白くてすんげー盛り上がった。

そこまではよかったんだけど!途中で名字がちょっと待っててと車から降りて建物の中に入り黒ずくめの男を連れて来た。一瞬背丈が似ていたから仁王か?と思ったがそいつは姿勢がよかったからちがった。


「初めまして、佐山です」


佐山です?え、あの佐山?俳優の?そー言えば名字のとーさん歌手だった。芸能人だった。1人で納得したのはいいけど!名字以外接点ないやつでドライブきつい。しかも名字が運転で助手席に忍足、俺の隣に俳優佐山くん(さっき佐山くんて呼んでと言われた)あーまじ終わった。


「丸井!丸井!どーなのよ!」

「は?」

「だーかーら!こないだ丸井女の子とデートしてたじゃん!」

「あールミちゃん?」

「そーそーあたしのこと可愛いて言ってくれたルミちゃん」

「え?名前ちゃんのこと可愛いて言ったん?ウケるわ」

「は?侑士くんムカつく!佐山くんなんか言ってよ!憧れのロックスターの娘が貶されてるよ?いいのそれで!全然ロックじゃないよ、この状況!」


俺とルミちゃんの関係からすんげー脱線して名字のブスいじりが始まった。これなら俺も楽しめる。


「お前佐山くんにブスなんて言わすなよぃ。同級生として恥ずかしいぜぃ」

「お?丸井も分かってるやん名前ちゃん可愛いて言ってくれるん仁王しかおらんもんな」

「俺は名前ちゃんのこと可愛いと思ってるよ」

「今更言われてもどーせ嘘でしょ。いいもん。2人でも可愛いと言ってくれる人間がいるんだし。で、丸井!どーなの」


くっそ、俺んとこにまた話がやってきた。仕方ない、


「セフレ状態」

「はーっ?」

「おお」

「俺、丸井は永遠の童貞キャラやと思ってたのに」

「丸井は残念ながら中3の誕生日で童貞卒業してるよ」

「え?ほんま?」

「うんうん」


いやいや待て待て。せっかく俺とルミちゃんの今の関係を教えたのに俺の童貞についてに変わってんだよぃ。

しかもなんで名字が俺の童貞卒業した日知ってん、あ、仁王か。それか幸村くんだ。


「誰と?俺的には年上かなーて思うんだけど」

「佐山くん、それが年下にリードされて卒業したんだよ」

「めっちゃおもろいやんそれ」

「でしょー年上なら分かるじゃん!それが年下にだよー」

「おい、名字!なんでお前そこまで知っ」

「はい、到着しましたー降りて降りて」


ツッコミを入れようとした瞬間目的地到着。ここはどこだと思って降りたら佐山くんがライブハウスだと教えてくれた。あれ、これってまさか


「今からパパのライブだよ!雅治ドタキャンしやがってね。向かってる途中に丁度丸井が通ったからラッキーて」


何回か部活終わりや休みの日に観に行ったことがある名字父のライブ。曲はノリがいい曲やたまにCMや再放送のドラマで聞いたことあるやつも歌ったりしているので楽しめるから結構好きだ。

それに名字の父さん話がおもしれーからMCもすんげー好き。たまに部活終わりに名字とついでに仁王を迎えに来る時があって服装がグラサンに革ジャン流石ロッカーて格好なのに腹がよじれるくらい面白いロックな話をよくしてくれたのを覚えてる。

しかしあいつの姉ちゃんは厄介だ。何回か殴られたし泣かされそうになった。名字をずる賢い美女にしたやつだ。美人だから余計にずる賢く見えるし。

そして名字の母さんは実はあんまり接点がない。会ったことはあるが話したりってのが本当にない。名字があまり会わせてくれない。理由を聞いても話を逸らされる。別にいいけど。


「丸井ーこれパスね!」

「おう、サンキュー」


ライブ会場に入り指定されたイスに座り名字と近況報告。テスト終わりに会ったがそんなに話してないからこうやってゆっくり話すのは卒業式ぶりかもしれねぇ。


「てかインハイ今年立海ダメだったねー」

「ああーそうそう!赤也がすんげーショックがってたぜぃ。俺も悔しいけど」

「後輩マネから電話あってさーもぅ泣きながら。あたし泣くキャラじゃないけど泣いちゃったよ」

「誰か見に行った?今年日帰りで行けるよーなとこじゃなかったし用事あって行けなかったんだけど」

「多分真田と幸村らへんは行ったと思うよー幸村とはたまに連絡取るけどそう言う話しないからねー」

「あれだろ、さっこネタ」

「まーねーさっこネタで幸村いじるの楽しいから」


久しぶりにテニス部ネタを話してやっぱりこいつとは話しが盛り上がると再確認。うざいしむかつくけど。

わーわー喋っていると会場がまっくらになった。さー卒業式ぶりの名字の父さんだ。

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