久しぶりに駅で待ち合わせをして、電車に乗ってデート。いつもは家に行って家でゴロゴロかそっから出かけるから新鮮。
「やば、暗いね」
「暗い。さすがナイトサファリじゃ」
ナイトサファリ、夜の動物園。夜ってことでいつもと違う動物の行動が見れるのが魅力なんだけどあたしたちは暗いことにすごく興奮してしまった。
「夜の動物園て夜中の学校に侵入してる気分。こっそり黙って入ってる気分」
「分かるぜよ、それ」
あたしたちは結局動物にあまり興味を示さず、只々夜の動物園に興奮をして初ナイトサファリは終わってしまったのだ。
「あーなんか今日のナイトサファリさ、雅治の誕生日にさ、幸村にもらったチケットで美術館行ったときのこと思い出した」
「ん?」
「その時もあたしら芸術に浸れなかったじゃん」
「そーじゃな、心落ち着くとは思ったがあとは絵触ったらブザーなるんかとかしか考えとらんかったのぅ」
動物園を出て最近色んな人とちょくちょく来てるバルへ。ここは他の店に比べて少し安いし量も多く気に入ったのでリピートしている。そしてなんてったってアヒージョがおいしい。他の店でも食べたけどここが一番あたし好みだった。
「あ、アヒージョうま」
「でしょ!ここのが一番おいしい!他の専門店とかもいったけどここの味が一番!」
「俺も1番かもしれん。ここどうやって見つけたんじゃ?」
「なんだっけなーあ!そうそう!お姉と侑士くんとご飯行こうて探してたら見つけたの」
「ほぉ名前さんは堂々とデートの邪魔を」
「あんだけ侑士くんとお姉といたらあの2人デートかとか思わなくなったよ。しかもここに来てお姉がさーあ!今日他の予定入れてたんだとか言ってさ置き去りだよ」
「それ名前と忍足がそこまで仲良くなかったら最悪のシチュエーションじゃな」
「本当にそーだよ。で、お姉がスペシャルゲスト呼んだからって言って佐山くん来たの」
「なんで俺呼ばないんじゃ」
「だって俺バイトだったし」
「ぷりっ」
「でもここからが問題でさ、その3人でご飯食べるの初めてだったからあたしは気まずかったの」
「なんでか知らんが前にあの2人が一緒に引越しの手伝いしてケーキ食べたぜよ。あん時は?」
「あれは雅治いたし?逃げ場があったの。でもその時はなかったから死ぬかと思って」
「ふーん。でもいけたんやろ?」
「まぁねーん」
アヒージョがあまりにもおいしくてもう一つ注文してしまった。もっと通って全メニュー制覇とかしてみたいかも。
「な、来週のあっきーとかと集まる日ここがええ」
「それいいね!8人もいるから色んなやつ食べれる!」
来週、卒業して以来いつメンとやらが初めて揃う。個々で会ってるけど全員集合てのがなかったからとても楽しみだ。
会計の時に来週の予約をして店を出た。ここの店は個室も少ないがあるのでどんちゃん騒ぎするだろうし個室の方を予約した。
「んー!夏の夜涼しいからいいねー!」
「俺もっと熱くなりたいぜよ」
「あっそ」
「はいホテル行くぜよー」
「チューする前に歯磨きとマウスウォッシュ必須です」
「は?」
「にんにく食べまくったから」
「ああ」
せっかくの涼しい夏の夜は真夏の熱帯夜となってしまったのだ。