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「パパ!パパ!」


昨日は待ちに待った引っ越し。新しい家はまたマンションだけど大学もいつも行く洋服屋とかご飯屋にパパの事務所全てが近い。自転車で行ける距離だからうれしい。

今日はみんなでダンボールに入ったものを整理する日なんだけど起きたらママとお姉がいない。いつも2人は早起きしてるからいるはずなのに。探してたらリビングのテーブルに1枚のメモが。そこには、


「え?2人で旅行?」

「そう!そーなの!このメモがリビングにあったの!」


メモにはパパとあたしが引越し準備のときに逃亡したからママとお姉は温泉旅行へ行ってきます。2人で仲良く新しいお家片付けてね。逃げないでね。とかかれていたのだ。


「パパ、2人で片付けとか無理だよ」

「パパに任せて」


パパはどこかへ電話していた。あ、あたくしどこに電話したか分かったかも。


「じゃ、朝ごはん食べに行くか」

「よっしゃー!」


車に乗って10分。あたしが前から行きたかったお店へ。オムレツがふわふわで美味しいらしい。


「あ、少し並んでる」

「本当だーでも3組くらいだからすぐだよ」


並んでる間に雅治にパパと並んでる写メを撮って送ったら引越しの片付けは?ってLINEが来た。もしかしてこいつ何か知ってる?と思い電話してみた。


(ん?どしたん?)

「知ってるでしょ!なんか!引越しの片付けについて!」

(秘密にしといて言われたんじゃ。まぁ、もぉ行っとるから構わんか。こないだパパさんと名前脱走したじゃろ?)

「うん。したねぇ」

(ママさんとお姉が飽きれてのぉ。引越ししてからの片付けは2人にやってもらってママさんとお姉は温泉旅行に行ったらと幸村が提案したんじゃ)

「幸村かよ。え、じゃあさ!あたしとパパが帰ってきたときなんで怒らなかったの?」

(幸村があえて怒らない方がいつ怒られるか分からない恐怖があっておもしろいってニヤニヤしながらアドバイスしとった)

「相変わらず意地悪幸村だね。最近特に害がないから忘れてたわ、幸村が意地悪なこと」

(そんで、部屋の片付けは?パパさんとご飯食べに来とるみたいじゃが)

「パパがどっかに電話してたから大丈夫」

(まさか何でも屋さんとか片付けの業者にでも頼んでるとか?)

「んーそうかも!あ、でもママにはってか誰にも言わないでね」

(おん。分かった)

「信じてるよ!じゃーね」

(ばいびー)


電話を切ったらちょうどあたしらの席が用意できたみたいで案内された。


「パパ、ママたちが温泉に行った理由分かったよ!」


席に着いてメニューを開く前にパパにさっき雅治から聞いたことを教えてあげた。


「幸村くん絶対楽しんでるね」

「でしょ!幸村はいーっつもそう!」


パパに今まで幸村にされたあんなことこんなことを教えてあげた。

思い出しただけで悔しい。


「チビは幸村くんに勝ったことあんの?」

「んーないね」

「即答か」

「だって勝てると思う?無理無理。弱味なんてな、あ」

「あ?」

「あるわ!ある!」


いざ話そうとしたら店員さんが注文を聞きに来た。ああ、忘れてた。

慌ててパパとささっと決めて注文して話を戻した。


「幸村ね、彼女ができたの」

「ふーん。それが弱味なの?幸村くんって他校でしか彼女作らないんでしょ?昔言ってなかったっけ」

「そーなんだけどね、幸村ね、今ね、さっこと付き合ってんの」

「え?そーなの?さっこちゃんと?」

「そう!だからね、段々弱味を知っていくの」

「ふーん。頑張れ」


パパはそこまで興味がなさそうだ。ふーんって2回言ったし。パパってあたしに対していつも塩対応だから気にしないけど。


「ねぇパパ」

「ん?」

「誰にも気づかれてないからグラサン取ったら?」

「うるさい」

「見た感じ大学生多いから仕方ないかー」

「うるさい」


最後に食べようと残してたソーセージをパパに食べられた。ちっ。



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