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テストが終わって夏休み!といきたいところだが、名字家は違う。お引越しという大大プロジェクトがある。

引越しのためにダンボールに色んな物をつめつついらないものはゴミ袋に入れてる。断捨離ってやつ?


「なぁこの服着てるの一昨年に一回しかないぜよ」

「だめ!それ明日着るの!」

「ほーそんなん言っとったら断捨離にならんぜよ」


んー断捨離はあたしには似合わないかもしれない。雅治と2人で頑張って引越し準備してるけど中々進まない。

たまに応援として侑士くんも来てくれてる。そしてたまのたまに幸村とあっきーも来るし意味分からないけど雅治のモデル仲間とやらまで来る。多分、あたし目当てかな?あたしに癒されたいんだよ。

なぜかというと、パパがマンションを購入したから出稼ぎしないとって夏フェスに出演しまくってるからだ。パパは夏が大嫌いで夏フェスなんてクソ食らえとか言ってたんだけどマンション買ったからって毎週日本各地飛び回ってる状態。だからネットで意見をコロコロ変え過ぎって叩かれるんだ。そしてママはママでパパと旅行ってルンルンでついて行ってる。

お姉と2人では引越し準備ができないってことで様々な人が手伝いに来てくれている。だから毎日知らない人や懐かしい人が我が家に出入りしているのだ。

ちなみにみっちゃんは来てくれない。来てくれたらタダ飯なのに。


「はー疲れた」

「早よせんと引越しは来週ぜよ。ママさんがダンボールに入ってない物は捨てると言っとったから頑張りんしゃい」


雅治にせかされいる物いらない物を分けて更に冬物夏物や雑誌にカバン、化粧品と分けて大忙し。雅治はあたしがちゃーんとやってるのを確認してキッチンの食器類を新聞紙に包む作業に移った。


「ひー疲れた」


雅治という監視役がいなくなったのでこの物が溢れた部屋に寝そべった。埃が舞うからとクーラーをつけてもらえず扇風機と外から吹いてくる扇風機だけで荷物整理をしてるから暑い。

このインナーは夏着るだけで涼しいとCMで言ってたけど嘘だクソ暑い。冬にヒートテックと間違えて着たらクソ寒かったけど。

この家にはあたしとあたし身体を隅々まで見た雅治しかいないからいいや、脱いじゃえ。あたしは上はブラ1枚になった。ああ、それでも暑いや。


「名前ちゃん、ケーキ買って来たで」

「俺は夏季限定桃の紅茶ー」

「あ」

「あ」

「え?」


雅治と2人っきりだしと思って上はブラ1枚下は短パンになった矢先に侑士くんと佐山くんだった。あーもう最悪。2人とも面識はあるけど一緒に来るなんて意外だし。

とりあえず服着てリビングにおいでと侑士くんに言われてさっき脱ぎ捨てた部屋着代わりのTシャツを着た。人気俳優さんがいるけど別に構わない。

リビングに行くともうお昼のティータイムセットが完了されていて桃のタルトをいただいた。他に桃のショートケーキに桃の実をふんだんに使ったゼリーに桃のロールケーキとかとにかく桃を使ったスイーツばかり買って来てくれた。


「自分らさっきまで休憩がてらにヤッてたん?」

「は?ヤッとらんぜよ。何でそー思ったんじゃ?」

「だって扉開けたら名前ちゃん上はブラ1枚下は短パンだったから」

「もーやめてよ恥ずかしい!」


佐山くんと侑士くんのせいであたしがブラ1枚になってたことをバラされた。でも雅治には見られてもよかったんだけどこーやって言われると恥ずかしい。


「別に名前ちゃんのブラ1枚の姿見ても何も思わんから大丈夫やで。でもな、小さ過ぎてかわいそうとは思ったわ」

「わー本当に侑士くんサイテー雅治、なんか言い返し…あ」


雅治の方を見ると佐山くんと仲良さそうに服の話をしていて聞いてくれそうにない。実は佐山くんに卒業祝いにと雅治が欲しがってた限定スニーカーとTシャツを貰ったから雅治の中で佐山ハヤトはええ奴になったのだ。


「仁王の奴、あんだけハヤトくんのこと嫌ってたゆーか嫉妬丸出しな対応してたのにスニーカーもらってコロッと対応変わったなぁ」

「んーなんかめちゃくちゃ欲しがってたからね、そのスニーカー。早めに並んだけど抽選外れたんだっけな」

「ふーん。早いもん順やったら転売目的のやつらに取られるかもしれんからなぁ」

「あたしも並べ言われたんだけど風邪引いて無理だったの」

「名前ちゃんてよぉイベント毎に風邪引くなぁ」

「最近はそーでもないけどそーだね」


あーでも気をつけないとな。服はちゃんと着ないと。


「さっ片付けしよっか」


侑士くんの一声で引っ越し準備再開。侑士くんはお姉の部屋片付けると言ったから、お姉のカバンと靴から任せることにした。下着には触れさせない。


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